レポート

大阪・関西万博の来場者数は歴代何位?閉幕後にみえた経済効果と課題

情報統括部 情報統括課
主任研究員 石井ヤニサ

大阪・関西万博の閉幕から1カ月が経過し、その経済効果を示す動きが報じられています。大阪メトロは、万博の来場者輸送に貢献した約4,500人の職員[1]に対し、1人あたり20万円の特別手当を支給しました。さらにJR西日本も約2万9,000人の社員を対象に、一時金(正社員12万円、契約社員6万円)を支給しています。

両社とも万博効果を含む需要増で、2025年4~9月期の純利益が過去最高を記録。JR西日本は万博による増収効果が期初予想より70億円高い440億円に達すると見込んでおり、通期の連結純利益も過去最高になる見通しを発表しています。

こうした動きから、今回の万博が多くの来場者を集め、地域経済にプラスの影響を与えたことがうかがえます。では、歴代の万博と比べると、大阪・関西万博の来場者数はどのくらいの位置にあるのでしょうか。

世界の歴代万博 来場者数ランキング(トップ10)

順位

万博名

開催年

来場者数

1位

上海万博

2010年

7,309万人

2位

大阪万博

1970年

6,422万人

3位

モントリオール万博

1967年

5,031万人

4位

セビリア万博

1992年

4,181万人

5位

ブリュッセル万博

1958年

4,145万人

6位

大阪・関西万博

2025年

2,558万人

7位

ドバイ万博

2020年(2021~22年開催)

2,410万人

8位

愛知万博(愛・地球博)

2005年

2,205万人

9位

ミラノ万博

2015年

2,150万人

10位

ハノーバー万博

2000年

1,810万人

注:本ランキングは、来場者数の信頼性が比較的高いとされる第二次世界大戦以降(1945年以降)に開催された博覧会国際事務局(BIE)が認定した登録博を対象としている
出所:BIE公式ウェブサイトおよび大阪・関西万博公式ウェブサイトより帝国データバンク作成

大阪・関西万博の来場者数は2,558万人で、世界の歴代万博(登録博)では6位、日本国内では1970年の大阪万博に次ぐ2位となりました。1970年の万博では海外文化への憧れや未来への期待が国民的な熱狂を生みましたが、今回の万博ではそのような動きは限定的でした。一方で、都市中心部からのアクセスの良さやSNSを活用した情報拡散が来場者数を後押しした点は、新しい時代の特色といえます。その結果、今回の運営黒字は230~280億円程度と見込まれ、2005年の愛知万博の黒字額(129億円)を大幅に上回る見通しです。

来場者の増加はこうした収支面だけでなく、観光、飲食、交通など地域経済の活性化に直結し、雇用創出にも大きく貢献しています。帝国データバンクが実施した調査[2]では、「大阪周辺では交通や買い物・飲食などにプラスに働いた。会場外のイベントも盛況だった」(機械・器具卸売、大阪府)や「来場者による各種経済活動の活性化が生じた」(化学品卸売、三重県)といった声が関西圏の企業から聞かれています。

関西圏以外でも「イベントでヒトやモノが動くことは、経済にも気持ちにも明るさをもたらして良いことだと思う」(専門商品小売、福島県)や「日本の閉塞感を打ち破った効果は大変大きい」(建設、東京都)という意見があるなど、全国的な好影響も確認されています。さらに、調査では全国企業の約7割が今回の万博を「一定のプラス効果があった」と評価し、日本社会・経済への影響に関する評価点は平均72.2点(100点満点)とおおむね肯定的でした。

ただし、万博の本来の目的である「文化交流」や「国際理解の促進」、「科学技術の発展とイノベーションの創出」をどれだけ実現できているかも重要であり、今回展示された先端技術や国際パビリオンでの交流が、今後どのように社会に活用されるかがカギとなります。大阪・関西万博を真の「成功」とするためには、こうしたレガシーを地域や社会にどう活かし、次世代へ継承するかが今後の課題です。


[1] 対象は交通事業本部の職員。それ以外の約500人には1人10万円を支給

[2] 帝国データバンク『「大阪・関西万博」の開催効果に関する企業アンケート』(2025年10月16日発表)

20251126_主観客観