レポート山形県内企業「後継者不在率」動向調査(2021年)
事業承継問題、コロナ禍で大幅改善 「後継者不在率」56.5%、過去10年で最も低く ~「同族承継」型の就任割合は減少傾向、脱ファミリーの動き継続 ~
はじめに
地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。
後継者が不在であるなか、新型コロナウイルスによる業績悪化などが追い打ちとなり事業継続を断念する事例も想定され、その回避策として事業承継支援が今まで以上に注目されている。中小企業庁が2017年7月に打ち出した、事業承継支援を集中的に実施する「事業承継5ヶ年計画」を皮切りに、中小企業の経営資源の引き継ぎを後押しする「事業承継補助金」の運用、経営・幹部人材の派遣、M&Aマッチング支援など、円滑な事業承継に向けたサポートが進んでいる。
■帝国データバンク山形支店では、信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)など自社データベースをもとに、2019年10月-21年10月の3年を対象として、事業承継の実態について分析可能な2,143社(山形県・全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行った。同様の調査は2020年12月以来5回目。
調査結果
- 事業承継の実態について分析可能な2143社(山形県・全業種)における後継者動向は、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が1211社に上った。この結果、山形県内の後継者不在率は56.5%となり、2020年の不在率62.2%から5.7ポイントの改善となった。4年連続で不在率が低下し、調査を開始した2011年以降で最低となった
- 業種別では、全業種で前年を下回り、かつ不在率7割を下回った。2021年の不在率が高いのは建設(63.5%)であった
- 先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2021年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が45.8%となり、全項目中最も高かった。ただ2020年からは1.6ポイント低下しており、ここ数年のスパンでは親族間の事業承継割合は緩やかに縮小傾向をたどっている。2021年に存在感を示したのが、第三者が社長に就任する「外部招聘」(10.8%)で、前年より4.8ポイント伸長した
- 後継候補が判明する県内930社の後継者属性をみると、「子供」が最も高い45.9%となったが、前年から4.0ポイント減少した。他方、社内外の第三者である「非同族」を後継候補に位置づけているのは、現社長の就任経緯が「内部昇格」、「外部招聘」、買収などを含む「その他」とする企業に多い
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