レポート2014年3月の景気動向調査

景気DIは51.0、調査開始以来初めて50を上回る ~ 駆け込み需要がピークを迎え景気を押し上げる ~

2014/04/03

■調査結果のポイント

  1. 『小売』『運輸・倉庫』『卸売』など8業界が改善し、5業界が過去最高を更新した。駆け込みや買いだめ需要がピークとなり、家電製品や日用品のほか、運送業では荷動きが活発化した。
  2. 地域別では全10地域が改善しており、『近畿』を除く9地域が50を上回った。特に、『四国』は公共投資や民間の設備投資が堅調で全10地域中第1位となった。また、「沖縄」は期末にかけての公共工事の増加や資材関連需要の拡大もあり、47都道府県で第1位となり、全国で初めて景気DIが60を上回った。景況感は地方圏で高まる傾向となっており、地域間のバラツキは小さくなっている。
  3. 「大企業」「中小企業」「小規模企業」ともに改善した。なかでも「中小企業」は『小売』『卸売』『運輸・倉庫』がけん引して大きく改善し、初めて50を超えた。

< 2014年3月の動向 : 駆け込み需要で景気押し上げ >

2014年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.4ポイント増の51.0となり、調査開始以来、初めて判断の分かれ目となる50を上回った。

3月は消費税増税を直前に控えて、駆け込み需要がピークとなり、景気上昇の原動力となった。2月までの駆け込み需要は耐久財を中心としていたが、3月は家電や家具などに加えて、食料品や日用品関連へと広がった。さらに、駆け込みで購入した物品や、住宅への増税前の引っ越しなどの配送を担う『運輸・倉庫』も車両やドライバーが不足し、需要に供給が追いつかない状況がみられた。駆け込み需要は特に「中小企業」の景況感を改善するけん引役となった。また、地域別では自動車関連が引き続き好調な『東海』や南海トラフ地震対策の公共事業が増加した『四国』など全10地域が改善した。

国内景気は、消費税増税を控えて駆け込み需要がピークとなり、『小売』『運輸・倉庫』を中心に大きく押し上げられた。

< 今後の見通し : 消費増税後の一時的落ち込みから緩やかに上昇 >

今後は、消費税増税による景気の落ち込みと原材料高によるコスト上昇による影響をどの程度抑えられるかが焦点となる。6月に策定される新成長戦略に加えて、2013年度補正予算で5.5兆円規模の経済対策が打ち出されており、公共事業に約1兆円、中小企業への支援策として約3千億円が投入される見通しとなっている。今後の景気回復のスピードに関わってくる消費は、中小企業の賃上げが最大のポイントとなる。同時に、消費の反動減対策として低所得者や子育て世帯、住宅取得者への現金給付措置などが盛り込まれており、消費税増税後の落ち込みを下支えする効果が期待される。また、企業による設備投資の増加や反動減を解消するための新商品・新サービスが見込まれるなど好材料もあり、景気の落ち込みを最小限とする対策が景気を押し上げる原動力となろう。

国内景気は、消費税増税後に一時的に落ち込むものの、緩やかな上昇過程が持続するとみられる。

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