レポート2014年2月の景気動向調査

景気DIは49.6、消費増税後の不透明感から一時足踏み ~ 小規模企業の収益環境が悪化、特に『不動産』で顕著 ~

2014/03/05

■調査結果のポイント

  1. 『小売』は大雪の影響で週末の客足が途絶えたほか、ガソリンスタンドでは厳しい価格競争が続き、飲食料品では中食販売の不振が響いた。また、家電製品が販売好調な半面で修理依頼が減少、大雪による建設等の活動停滞の影響を受けた『サービス』など、前月に景気をけん引した消費関連業界が悪化した。
  2. 地域別では、『北海道』『九州』など7地域が悪化した。『九州』は日照不足が続いた影響で農作物の成長遅れが流通に影響したほか、魚価低迷による不振が響いた。他方、自動車関連が好調な『東海』は改善した。
  3. 「大企業」「中小企業」「小規模企業」の全規模で悪化した。小規模企業は価格面での収益環境が厳しさを増しており、特に『不動産』で顕著に現れた。


< 2014年2月の動向 : 景気の上昇傾向が一時足踏み >

2014年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント減の49.6となり、2013年6月以来8カ月ぶりに悪化した。

2月は、円高の動きが米国の長期金利上昇もあり一服し、株価も概ね安定した動きとなった。しかし、企業の間で消費税率引上げ後の需要回復に対する先行き不透明感が現れてきたなか、大雪による悪天候は小売店、レジャー施設などの来客数を減少させ『小売』『サービス』など消費関連業界を悪化させる要因となった。また、地域別では自動車関連が好調な『東海』など3地域が改善した一方、『北海道』『九州』など7地域が悪化した。規模別では8カ月ぶりに全規模で悪化した。とりわけ「小規模企業」は仕入れ単価DIが上昇を続ける一方、販売単価DIが低下するなど、価格面で収益環境に厳しさが増した。

国内景気は、先行きへの不透明感が感じられるなかで悪天候要因も重なり、一時的に足踏み状態となった。

< 今後の見通し : 消費増税後に緩やかに上昇 >

今後は、震災復興や東京五輪関連工事、北陸新幹線など公共事業だけでなく、民間企業によるIT関連やリニア新幹線などの設備投資の増加も見込まれ、景気回復に向けた好材料は多い。また、企業の5割弱が賃金改善を見込んでおり、一部の業界・地域では雇用・所得環境の改善に向けた明るい兆しもある。賃金上昇は消費税率引上げ後の個人消費の反動減に対して下支えの役割を果たすと予想される。さらに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の進展が期待される。

一方で、2月の大雪で国内景気の上昇傾向は一時的な足踏み状態となり、消費増税後の一時的な消費の落ち込みや海外の政治情勢の動向が懸念され、増税後の経済の姿が見えず模様眺めを取る企業が現れるなか、政府による景気対策の効果や6月に策定予定の新成長戦略の内容が問われる。

今後は消費税増税後の落ち込みへの対策や新成長戦略の効果次第という面があるものの、国内景気は緩やかな上昇基調が持続するとみられる。

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