はじめに
中古車販売大手による保険金不正請求や、雇用調整助成金の不正受給など、コンプライアンス違反が外部からの指摘を受けて発覚する事件が目立っている。こうした企業では、事情を知っている社内の従業員などが早くから声をあげれば被害を抑制できたケースが多い。
そのため、刑事罰や過料の対象となる法令違反について内部または外部に通報(以下、「公益通報」)した従業員等を解雇などの不利益な取扱いから保護する目的で作られた消費者庁が所管する公益通報者保護法がある。2020年6月の改正では、公益通報の受付窓口の設置など、対応体制の整備が求められるようになった。
改正した同法が2022年6月に施行されて1年以上が経過しているなか、大手企業であっても十分に対応できていない実態が社会全体で注目されている。
そこで、帝国データバンク福岡支店は、公益通報者保護制度に関する九州企業の見解について調査した。本調査は、TDB景気動向調査2023年10月調査とともに行った。
■調査期間は2023年10月18日~31日、調査対象は九州・沖縄地区2,558社で、有効回答企業数は999社(回答率39.1%)
調査結果
- 改正公益通報者保護法に関して、「内容を理解し、対応している」企業は7.4%にとどまり、「言葉も知らない」(18.3%)は2割近くにのぼった
- 『公益通報の窓口を設置および検討している』企業は21.0%だった
- 設置のきっかけは、「社内のコンプライアンス強化」(85.2%)が8割超(複数回答)
- 設置の効果は、「経営上のリスクの未然防止・早期発見」が76.7%でトップ(複数回答)
- 設置しない理由、「窓口がなくても法令違反などの問題があれば社内で共有される」(47.9%)企業が半数近くとなった(複数回答)
詳細はPDFをご確認ください

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