■調査結果のポイント
- 2017年5月の景気DIは前月から横ばいの46.5となった。国内景気は、東京五輪や復興需要などの建設関連が旺盛だったものの、人手不足による負担増もみられ、ここのところ続いていた景気回復が一服した。今後の国内景気は、海外リスクが懸念材料となるものの、輸出や設備投資がけん引役となり回復傾向が続くとみられる。
- 『建設』『不動産』『小売』など5業界が改善、『サービス』など5業界が悪化した。人手不足の状況は懸念要因が強まったものの、『建設』『不動産』がそろって改善したことで、関連する製造や卸売の建材業種も上向いた。『サービス』は50台を維持しているが9カ月ぶりに悪化した。
- 『北海道』『北陸』など10地域中4地域が改善、『近畿』など6地域が悪化した。景況感の改善傾向が続く『北海道』では建設業が押し上げ要因となった一方、『近畿』では中国の生産減退などで製造業が振るわなかった。規模別では、「大企業」は4カ月連続で改善した一方、「中小企業」は4カ月ぶりに悪化した。
< 2017年5月の動向 : 回復に一服 >
2017年5月の景気DIは前月から横ばいの46.5となった。
東京五輪や震災復興などの公共工事増や旺盛な再開発需要に加えて、貸家などの新設住宅着工戸数の増加を受けた『建設』のほか、2014年3月以来3年2カ月ぶりに50台を回復した『不動産』が改善したことで、建材などの関連業種の景況感も上向いた。株価の高値安定や好天、ガソリン価格の6週連続下落などが、5月の国内景気全体へプラスに働いたものの、光熱費・人件費上昇などのコスト負担が重く、人材確保に苦慮するコメントがみられた『サービス』などの景況感が悪化。
国内景気は、東京五輪や復興需要などの建設関連が旺盛だったものの、人手不足による負担増もみられ、ここのところ続いていた景気回復が一服した。
< 今後の見通し : 回復傾向続く >
今後の国内景気は輸出に加え、企業収益の改善や人手不足対策により持ち直しが見込まれる設備投資がけん引し、回復が続くと予想される。個人消費は実質賃金の伸び悩みにより回復への力強さに欠ける状態が続いているが、今後は徐々に企業部門の改善が家計部門に波及することが期待される。加えて、物価の上昇とともに、6月に予定されている骨太の方針や成長戦略が景気の底上げにつながることが見込まれる。しかし、米国の政治情勢や仏議会・英総選挙の行方、地政学的リスクの高まりは円高要因となることから、海外に不安要素を抱えることになる。
今後の国内景気は、海外リスクが懸念材料となるものの、輸出や設備投資がけん引役となり回復傾向が続くとみられる。
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