レポート2013年9月の景気動向調査
景気DIは46.1、戦後最長の拡大期だった2006年当時まで上昇 ~ 「大企業」と「小規模企業」が過去最高を更新、アベノミクス効果が中小零細にも波及 ~

< 2013年9月の動向 : 上昇している >
2013年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.5ポイント増の46.1となり、3カ月連続で改善した。いざなぎ景気を超える戦後最長の拡大期にあった2006年10月(46.3)以来、6年11カ月ぶりの水準。
9月は震災復興や国土強靱化による耐震工事が進み、2020年東京五輪招致決定というニュースが企業マインドの改善を促した。また、マンションなど住宅への駆け込み需要は関連分野の改善につながり、『建設』『製造』『運輸・倉庫』などを中心に全10業界(51業種中43業種)が改善した。地域別では3カ月連続で全10地域が改善、『北海道』『東北』『九州』の3地域が過去最高となった。大企業と中小企業、大都市圏と地方圏で格差がみられ、景気拡大が大都市圏の大企業に限られていた2006年当時と比べて、今回は地域・企業規模・業界で幅広く景気拡大の効果が及んでいる。
「大企業」と「小規模企業」がともに過去最高となるなどアベノミクス効果が中小零細企業にも波及し、国内景気は本格的に上昇している。
■調査結果のポイント
- 『建設』は、3カ月連続で改善し、過去最高を更新した。公共工事に加えて民間設備投資、住宅関連の駆け込み需要、太陽光発電の設置工事、防災・減災工事など、官公庁のみならず民間からの需要増加が大幅な改善要因となった。
- 「大企業」と「小規模企業」が過去最高を更新した。「中小企業」も6年11カ月ぶりの高水準となった。建設やサービスなど小規模企業へもアベノミクス効果が波及しはじめている。
- 全10地域が3カ月連続で揃って改善した。『北海道』『東北』『九州』の3地域は2カ月連続で過去最高を更新した。『北海道』は全10地域中第1位となり、初めて50を超えた。『不動産』や『建設』など4業界で50以上となった。
< 今後の見通し : 上昇が持続 >
安倍首相は2014年4月からの消費税率引き上げを決断した。今後は、各企業の消費税への対応や5兆円規模ともいわれる政府の経済対策、法人税減税などを含めた成長戦略など、駆け込み需要後の反動減を抑制する緩和措置が景気を支える。2013年度上半期の企業業績が回復し、国内景気の上昇が続くなか、消費増税が業績に「悪影響」と考える企業も1年前より10ポイント以上減少しており、業績への懸念も弱まってきている【「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」(2013年8月調査、帝国データバンク)】。さらに、震災復興や国土強靱化政策といった公共投資のほか、国内外からの観光客も増加すると見込まれる。また、デフレ脱却に向けて物価も徐々に上昇しており、非製造業も含めた設備投資や積極的な店舗展開が進むとみられる。
今後の国内景気は、内需を中心に上昇が持続する見込み。
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