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厚生労働省は2009年4月現在、保育園の入所待ちをしている待機児童数が2万5,384人にのぼり、前年同時期からの増加数が2001年の調査開始以来、過去最大となったとの調査結果を発表した。前年からの増加率も過去最高となっており、景気悪化に伴い専業主婦だった女性が働きにでるケースが増大する一方で、保育体制の整備が追いついていない状況が浮き彫りになった。
政府は2008年に「待機児童ゼロ作戦」と称して、2017年までに保育所などの受け入れ児童数を100万人増やすなどの目標を設定した。また、当時の福田首相の指示で、2010年までの3年間を集中重点期間とし、保育所の整備に加え、自宅で子どもを預かる「保育ママ」の増員を進めるとしていたが、待機児童問題の状況は好転していない。
今回の選挙で政権交代をなしえた民主党のマニフェストにも、待機児童解消策として保育ママの増員があげられている。たしかに、補助金の額を増やすことなどで、保育ママになろうと言う人がある程度は増えるとは思うが、自宅で他人の子供を世話することの責任の重さから、待機児童問題の解決につながるまでの増員は期待できないと思われる。また、子供を預ける側も、対個人に預けることにはかなりの抵抗があるため、その効果は限定的で、かつ定着するまでに多くの時間がかかるだろう。
そのコストと時間を考えると、少子化により増加している小中学校の空き教室や、廃校を利用した保育所の増設をピンポイントで進めたほうが効果が大きく即効性も期待できると思う。景気の回復力が鈍く、失業率も上昇している状況下、新政権にはこの問題についてスピード感のある対応を求めたい。
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