レポート景況感回復には中小企業への支援策が不可欠

2007/11/06
景気動向  コラム

脱・属国

2007年10月のTDB景気動向調査では、中小企業の景気DIが7カ月連続悪化、2004年1月(39.4)以来3年9カ月ぶりに40ポイントを割り込んでおり、厳しい経営環境がうかがえる。


中小企業からは、「大豆、小麦、塩、燃料および副資材関係すべて高騰しているが、販売価格に全く転嫁できない」(調味料製造)、「食品の値上げが進んでいるが、スーパーに価格をなかなか上げてもらえない」(乾物卸)、「燃料高騰が深刻。価格に転嫁できないので採算割れの状況で、事業縮小を計画している」(貨物輸送)などの声があがった。


原油価格や資材価格の高騰のしわ寄せを中小企業が調整弁となり、その経営環境を悪化させているという構図だ。10月1日には食用油が、11月1日からは業務用の小麦粉の値上げが実施されるなど、大手の値上げは徐々に浸透している。


今後も製品・商品価格が上昇しても、中小企業は値上げを実施しづらい状況に変わりはない。


10月30日に労働力調査(速報)2007年9月分の調査結果の概要が発表されたが、従業員数1~29人の事業所の事業従事者数は前年同月比2.0%減(36万人減)、一方、従業員数1,000人以上では同4.0%増(38万人増)と大企業の強さが伺えるだけだ。


景況感の回復には、中小企業の支援策を含めた抜本的な政策がなければ、消費の回復も望めない状況となっている。

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