はじめに
日銀は3月18日~19日に金融政策決定会合を開催し、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、マイナス金利、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)、ETF(上場投資信託)の買入れなどの金融政策を撤廃・終了することを決定した。これを契機に、金融機関の貸出金利や預金金利の上昇などの動きが顕在化しており、今後の動向が注目されるところだ。「当面、緩和的な金融環境を継続する」と明言していることから、ドラスティックな金利の変動は生じないものと思われるが、一つの時代の終焉を感じさせる変化と言えよう。今後の借入金利を取り巻く環境に注視をするとともに、金融再編の動きや、特に中小企業の資金需要に対する金融機関の対応などについても観察していく必要があるだろう。
この状況を踏まえ、帝国データバンク宇都宮支店は、企業財務データベース「COSMOS1」(全国約97万社収録)を用いて、時系列での推移を集計・分析すると共に、市郡別や業界別など栃木県内企業の2022年度における平均借入金利を算出し、コロナ禍での金融の実態を把握してみた。
平均借入金利動向に関する調査は、2022年11月に続き5回目。
■「企業単独財務ファイルCOSMOS1」収録の全国約97万社の中から、非営利・特殊法人等を除く栃木県内企業の2006年~2022年度の決算データを集計した
■借入金利は、有利子負債(銀行等、保険、ノンバンク、個人借入等を含む借入金、社債、CP等を含む総額)に対する支払利息の割合
■本レポートでは、平均値にトリム平均を用いている。全体の最大値および最小値からそれぞれ10%分のデータを除き、平均を算出した
調査結果
- 2022年度における栃木県内企業の平均借入金利は 0.98%で前年度比▲0.01ポイントとなり、2006年度の2.31%と比較すると1.33ポイントもの平均金利の低下が確認できた
- 県別順位では全国第23位(金利が低い順)、全国平均の0.98%と全くの同値であった。市郡別では、「真岡市」が最も低い0.88%、以下「宇都宮市」が0.89%、「下都賀郡」が0.90%と続いた。一方、最も平均金利が高かったのは、「下野市」の1.51%で、以下「那須烏山市」の1.29%、「日光市」の1.27%が続いた。業界別では、「金融・保険業」が最も低い0.26%、「農業」が0.59%と続く。一方最も高かったのは「鉱業」の1.52%、「不動産業」の1.08%であった

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