レポート「いざなぎ景気」超えで拡大する政府批判

2006/11/07
景気動向  コラム

大和

2006年10月、政府は月例経済報告において景気の基調判断を「回復が続いている」と据え置いた。さらに、「今後も回復基調は続く」としており、2006年11月にはついに「いざなぎ景気」を超え回復期間は戦後最長となる。


しかし、TDB景気動向調査(2006年10月)では、「いざなぎ景気」超えについて約8割の企業から「実感がない」との声が挙がっている。


同調査では、強気の姿勢を崩さない政府に対して「実績を強調したいがために、いざなぎ超えを喧伝している」、「政府・マスコミによる消費拡大への扇動」との厳しい批判が多く寄せられた。


実際、政府には新政権の好調なスタートをアピールしたい気持ちもあるほか、「成長なくして財政再建なし」のスローガンを掲げる以上、来年夏の参院選を乗り切るためには景気回復のイメージ戦略が不可欠な状況となっている。


それと同時に、決して手放しで喜べるほどの好景気ではない、とのアピールも忘れてはいない。その代表例が物価動向だ。政府がデフレ脱却への判断にあいまいさを残しているのは、日銀の金融政策(金利再利上げ)への牽制とも言える。新政権にとって、利上げによる景気の急減速だけはどうしても避けたいシナリオだろう。


だが、これらのさまざまな政治的判断に、各地方経済を支えている企業動向を見据えたものがあるとは思えない。また、企業だけでなく国民の厳しい声を無視してすべてが都合よくはこぶはずもない。


あまりにも足元を顧みない状態が続くようだと、新政権はいずれ手痛いしっぺ返しをくらうことになる。

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。