レポート利上げ見送りで自らクビをしめてしまった日銀

2007/02/06

東麻布の宮

1月18日、金利の再利上げが見送られた。


利上げは景気にはもちろんのこと、為替や株式市場にも影響を及ぼし、短期的には円高・株価下落の要因となる。しかし、日銀の金融政策決定会合が開催される数日前から利上げ実施のトーンで報道されていたにもかかわらず、どちらかと言えば"円安、株価上昇"。つまり、市場は今回の利上げをすでに織り込んでいたと言ってもいい状況だった。そういう意味では、今回は利上げ決行の絶好のタイミングだった。


しかし、日銀は"消費や物価動向を見極めてから"という理由で、政策金利の引き上げ見送りを決定した。


利上げを織り込んでいた株式市場は、日銀の決定を"景気減速"を裏付ける意味にとったかのように一時急落。また、利上げ見送りは企業にとってはプラスになることから1月の景気DIは改善するものと考えていたが、結果は大幅なマイナスとなった。利上げ見送りが脆弱な個人消費、低調な物価動向を改めて浮き彫りにしたことが一因であり、これらをみても、今回、利上げは実施されるべきだったと思えてならない。


日銀は2月以降にまた再利上げのタイミングを探ることになるが、"個人消費や物価動向の改善"という利上げの条件を提示してしまったため、いずれも改善が見込めないなかでの利上げは難しくなったのではないだろうか。日銀は自分で自分のクビをしめてしまったようで、これから日銀は、今回見送った利上げを決行する理由付けに苦心することになりそうだ。

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。