はじめに
日本銀行のマイナス金利政策による超低金利の長期化が響き、金融機関にとって厳しい経営環境が続いている。上場地銀の2020年4-9月期中間決算では、発表分のうち6割にあたる49行・グループの最終損益が減益・赤字となった。各金融機関ではこれまで、店舗統廃合や人員削減を積極的に推し進めたコスト圧縮や、フィンテックなどIT化の推進、活動基盤の拡大に伴う越境融資など攻防含めた生き残り策を続けてきた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の事態に直面するなか、融資先企業の業績悪化などから与信費用が増加するといった逆風も吹いている。
折しも、菅義偉首相が「地銀は多すぎる」と述べるなど、金融機関の再編圧力は再び高まっている。近畿では2020年1月に大阪の第二地銀である大正銀行と徳島銀行が合併し、徳島大正銀行が誕生。地銀再編が進むなか、収益力向上とともに、地元での存在感、広域化、コンサルティング機能向上など生き残りのために独自色を打ち出した施策が求められている。
帝国データバンク和歌山支店では、2020年11月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」に収録されている和歌山県内の企業(12,590社)がメーンバンクと認識している金融機関について抽出し、集計した。なお、調査対象は全業種全法人で、個人経営も含む。同調査は2020年1月に続き5回目。
■本調査は「COSMOS2」に収録されている企業のデータであるため、各金融機関がメーンとして取引している実数とは異なる。また、一企業に複数のメーンがあるケースでは、企業が最上位として認識している金融機関を集計した
調査結果
- 和歌山県内の企業がメーンバンクとする金融機関のトップは「紀陽銀行」で、全体の63.8%を占めた。2位に「きのくに信金」(16.6%)が続き、上位2行でシェア8割を占める
- 地域別では、いずれの地域でも「紀陽銀行」がトップで、「きのくに信金」がこれに続いた。「紀陽銀行」のシェアは「紀北エリア(和歌山市除く)」(66.2%)で最高。地域密着型の信用金庫、農協に加え、ゆうちょなどの金融機関も存在感示す
- 業種別では、主要8業種全てで「紀陽銀行」がトップ、「きのくに信金」がこれに続いた。「紀陽銀行」のシェアは「サービス」(67.5%)で最も高い

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