レポート手形利用企業の実態調査

依然、企業の4割強が決済に手形を利用~ 「でんさい」開始で、今後の商習慣に変化も ~

2013/03/27
資金繰り

はじめに

手形を使った信用取引は、日本独特の商習慣として古くから行われてきた。裏書譲渡、割引など資産の流動性を高める手形の機能は、中小企業にとっては資金繰りを軟化させる手立てにもなっており、商習慣として深く根付いている。しかし、管理コストや煩雑な事務作業が、スピード化した現代の商取引と乖離していることなどを背景に、近年は手形取引が急減しており、全国の手形交換高(金額)は20年前の10分の1に縮小(全銀協調べ)。現金取引がスタンダードになりつつある。
こうしたなか、2月18日には手形とほぼ同じ機能を持つ「電子債権」を扱う「でんさいネット」がスタートした。メガバンク以外の地方金融機関に口座を持つ中小企業も、電子債権による資産の流動化を図れるようになり、今後、国内の手形取引はひとつの分岐点を迎えることとなる。
帝国データバンクは、取引先との決済手段として手形を利用している企業のデータを集計し、地域別、規模別、メーンバンク別などの点から分析した。調査対象は、近年の決済手段が判明している、全地域・全業種48万9374社。

調査結果(要旨)

1.全国で少なくとも21万7684社が手形取引を行っており、調査対象企業の44.5%を占める
2.地域別に見ると、「北陸」に本社を置く企業では59.1%が手形を利用している一方、「東京都」の企業では33.5%にとどまるなど、大きな地域差が見られた
3.売上規模別に見ると、売上高「100~500億円未満」の企業で最も利用率が高く57.4%。以下、規模が小さい企業ほど手形を利用しない傾向が見られた
4.業歴別に見ると、「業歴50年以上」では6割を超える企業が手形を利用する一方、「業歴10年未満」では1割台となった
5.業種別では、「製造業」が利用率75.2%で最も高い

20130327_手形利用企業の実態調査.pdf

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