レポート2016年11月の景気動向調査

国内景気は3カ月連続改善、上向き傾向 ~ 米大統領選ショックは短期間で反転、円安株高が好材料に ~

2016/12/05

■調査結果のポイント

  1. 11月の景気DIは前月比0.8ポイント増の44.1となり3カ月連続で改善した。米大統領選のショックは短期間で反転し、円安株高が進んだ。住宅着工や自動車生産も好調に推移し、国内景気は、地方と大都市の双方で改善、上向いている。今後の景気は、雇用・所得環境の改善や公共投資などもあり、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
  2. 『その他』を除く9業界で改善し、『不動産』『金融』『卸売』など4業界で改善幅が1ポイントを超えた。次期米政権への政策期待から米国金利が上昇、円安も進み一時年初来高値を上回るなど株価が続伸したことが、一部の企業へプラスに働いた。また11月に入って気温が下がり、季節商品を中心に消費が活発化した。
  3. 『北陸』や『南関東』『九州』など全10地域が2カ月ぶりにそろって改善した。地方での住宅着工戸数増加のほか、東京五輪や首都圏の再開発事業が活発だったことで、地方と大都市の双方が改善した。自動車生産の回復も工場を抱える地域の改善要因となった。


< 2016年11月の動向 : 上向き >

2016年11月の景気DIは前月比0.8ポイント増の44.1となり3カ月連続で改善した。3カ月連続の改善は2015年3月以来1年8カ月ぶり。

11月は、米大統領選挙にともない外国為替市場や株式市場など、金融市場の乱高下がみられたがショックは短期間で反転、円安株高が進んだことにより一部企業で好材料となった。国内の景気動向は、震災復興とともに、住宅着工戸数の増加や好調な自動車生産などがプラス要因となり、中小企業を中心に景況感が上向いた。また、気温の低下で季節商品が好調だったほか、軽油など燃料価格が安定的に推移したことも景況感の押し上げ要因となった。

国内景気は、地方と大都市の双方で改善し、上向いている。

< 今後の見通し : 緩やかな上向き傾向 >

今後は米国のトランプ次期大統領の経済政策に注目が集まる。「就任後100日計画」で表明された環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱の可能性は日本企業の経営戦略に大きく影響を与えるとみられる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げのほか、原油や液化天然ガス(LNG)など燃料価格の動向も注視する必要がある。他方、国内動向では、財政の前倒し執行による公共工事の増加や、金融緩和効果の浸透が国内景気を下支えする要因となる。個人消費では、企業の冬季賞与・一時金の総支給額が増加すると見込まれているほか、就業者数の増加は好材料となる。企業は人手不足で人件費が上昇し負担は増すが、徐々に設備投資の増加が見込まれる。

今後の景気は、雇用・所得環境の改善や公共投資などもあり、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。

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