レポート全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021年見通し・速報)

廃業、コロナ前から最大6000件の大幅減少へ 年間5万3000件台、2年連続で前年下回る ~ 業種間で二極化、ホテル・旅館は過去10年で最多 ~

はじめに

日本における2021年の廃業件数はコロナ前から約1割減少するなど、大幅な減少が確実となった。11月時点でも引き続き、金融機関などの手厚い経営支援を背景に、企業の資金繰り難による「息切れ型」の廃業件数が増加するとは考えにくく、そのため廃業動向は年内も落ち着いて推移するものとみられる。

ただ、廃業件数は過去5年で初めて企業倒産の9倍に達するなど、廃業動向は依然高水準で推移している点には変わりない。また、各種融資で資金繰りは円滑になっている半面、負担が重くのし掛かる企業も多く、事業利益で借入金を返済できない「破たん懸念企業」も全国30万社に上ると推計されるなど、経営環境は好転しているとは言い難い側面もある。そのため、2022年前半にかけては、長期に渡り支援を受け続けて事業を継続してきたものの、将来展望が描けず自ら手を上げる「あきらめ型」の廃業が増加する可能性が依然燻っており、動向が注視される。


■帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計
■「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(但し「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称
■調査時点での休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計する事もある

調査結果

  1. 2021年の休廃業・解散件数(以下「廃業」)は、コロナ前の19年を6000件下回る5万3000件前後を見込む。55年ぶりの5000件台が予想される「歴史的低水準」の企業倒産と同様に、廃業も総じて減少傾向が続いた。積極的な金融支援で、B to C業界を中心に、廃業へと傾きつつあった経営マインドに「待った」を掛けたことも、廃業件数が大幅に抑制された要因とみられる
  2. 業種別では、サービス業を中心に過去最多や前年を上回る見込みの業種が相次ぐ。過去最多を見込むのは、クリニックなど医療関係、自動車整備業関連、観光関連産業など。前年を上回る見込みの業種は建設関係やB to C系のサービス業が中心で、なかでもホテル・旅館は過去10年で最多を更新する見込み
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