レポート消費者金融・事業者金融主要90社の経営実態調査

2008年度決算は85%の企業が減収、収入高上位20社もすべて減収直近2年間の減収率は33.7%の大幅減、市場縮小に歯止めかからず

2009/12/21
政策・法制度  金融

はじめに

2009年の消費者金融・事業者金融業者の倒産は11月までで23件発生し、過去5年で最多となった(5ページ参照)。2009年は、2月に㈱SFCG、11月に㈱ロプロと、事業者金融大手2社が倒産。消費者金融大手のアイフル㈱も9月、事業再生ADRを申請し私的整理入りするなど、業界大手の苦境が際立つ1年となった。貸付金利息収入の減少や、相次ぐ過払金返還請求で業績悪化が目立つなか、2010年6月の改正貸金業法の完全施行を控え、さらなる市場縮小が懸念される。
帝国データバンクでは、2009年11月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」から、2008年度(2008年4月期~2009年3月期)の営業収益が判明した消費者金融・事業者金融90社<3億円以上>を対象に(一部推定値含む)、営業収益総額の推移、営業収益・前期比較、損益状況、上場7社の直近連結業績、倒産動向を分析した。

「消費者金融業者」は、不特定多数の一般消費者を対象に融資している企業。一般消費者を対象とした住宅ローン専門ノンバンクは除外し。「事業者金融業者」は、不特定多数の一般企業や個人事業主等を対象に融資している企業と定義し、大会社が自社やグループの取引先向けに融資しているノンバンクは除外した

調査結果

主要90社の2008年度の営業収益総額は、1兆4412億1700万円。前年度を22.3%(4146億1400万円)下回り、2期連続2ケタの前年度比減少。直近2年間で33.7%(7319億9000万円)の大幅減少となった。主な要因は、上限金利の早期引き下げや審査基準の厳格化に伴う貸付金利息収入の大幅減少。このうち、2008年度の営業収益上位20社すべてが前年度を下回るなど、業績悪化が
目立った。90社中、2007、2008年度の営業収益が判明した83社について2期間を比較すると、2008年度の「増収」は13社(構成比15.7%)にとどまった。
他方、「減収」が70社(同84.3%)にのぼり、全体の約85%が前年度を下回った。損益面では、全体の4割強が「赤字」、5割弱が「減益」。利息収入の大幅減や、過払金返還請求に対する引当金の積み増しが利益圧迫要因となった。

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