レポート2015年2月の景気動向調査

国内景気、全国的に底入れ ~ 自動車輸出の好調が関連業界に波及 ~

2015/03/04

■調査結果のポイント

  1. 2月の景気DIは前月比1.2ポイント増の45.1となり、2カ月連続で改善した。円安による自動車輸出の拡大が関連業種にも波及したほか、企業の設備投資意欲が改善傾向を示したことで生産活動も活発化した。さらに、原油や天然ガスの価格下落が企業の負担軽減につながっており、国内景気は消費税率引き上げ後の悪化傾向から脱し、底入れした。今後の国内景気は、夏頃まで外部要因がけん引しつつ、緩やかに改善していくと見込まれる。
  2. 業界別では『不動産』『製造』『小売』『卸売』など10業界中7業界が改善した。特に、『不動産』はオフィスを中心とした貸事務所やマンション需要の高まりもあり、13カ月ぶりの大幅改善となった。また、『製造』は米国向け輸出が堅調な自動車関連が全体を押し上げた。
  3. 地域別では、『北海道』や『東北』『四国』など全10地域が11カ月ぶりに改善した。『四国』は主要産業のひとつである造船が順調だったほか、公共工事が堅調な「高知」の建設業が全国で最高となるなど、10地域で最大の改善幅となった。


< 2015年2月の動向 : 底入れ>

2015年2月の景気DIは前月比1.2ポイント増の45.1となり2カ月連続で改善した。

2月の国内景気は、日経平均株価が15年ぶりの高値をつけるなど、原油安や賃金上昇への期待もあり景気が底入れしたとの見方が広がった。円安による自動車輸出の増加が関連業種へと波及したうえ、訪日旅行客の増加は小売や旅館・ホテルなどを上向かせた。原油価格下落は天然ガスの価格低下にもつながりはじめるなど、企業のコスト負担を一段と軽減させる要因となった。その結果、設備投資意欲が改善し資金需要も高まっているなか、工作機械など生産関連受注も活発化し、11カ月ぶりに全10地域が改善した。

国内景気はエネルギー価格の低下や円安の好影響で消費税率引き上げ後の悪化傾向から脱し、底入れした。

<今後の見通し : 緩やかに改善 >

原油および天然ガスの価格下落によって企業や家計のエネルギー関連の負担が軽減されるほか、今後の設備投資や消費回復に向けた好材料として期待される。政府による経済対策とともに、地方創生や農業改革を踏まえた新しい成長戦略の実行が見込まれる。また、震災復興に加えて、高速道路や新幹線などインフラ整備の計画、東京五輪など建設需要は高水準で続くとみられる。さらに、2015年度に3.2兆円規模の賃上げが試算されていることも個人消費にとって好材料といえよう。ただし、人手不足は景気拡大を抑制する懸念材料となり、過剰分野から不足分野への労働力の移転がカギを握る。

今後の国内景気は、外部要因がけん引しつつ緩やかに改善すると見込まれる。しかしながら、夏以降に新たな景気対策が打ち出されなければ横ばいで推移すると予想される。

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