はじめに
厚生労働省は24 日、2012 年度の介護保険制度改正における方針を発表、検討されていた高所得者の自己負担割合の引き上げなど、利用者の負担増は見送られた。介護保険制度に関しては、財源の確保など問題は山積している。一方6 月には、医療や介護などを「成長けん引産業」に位置付けた新たな成長戦略が閣議決定されており、2020 年までに介護関連産業で約50 兆円の新規市場の開拓を目指すとしている。また、日銀の成長基盤強化に向けた新貸出制度でも、介護分野は成長分野として指定されている。高齢化が進むなか、今後の需要増が見込まれ、介護分野は成長が期待される注目産業といえる。
帝国データバンクでは、2010 年12 月時点の企業概要データベース「COSMOS2」から、2009年度(2009 年4 月期~2010 年3 月期)の売上高が判明した介護サービス・有料老人ホーム業者を主な対象に、社数・売上高総額推移、内訳、売上高前期比較、損益状況、倒産動向を分析した。なお、介護サービス・有料老人ホーム業に関する経営実態調査は今回が初めてとなる。
調査結果
2009 年度の売上高が判明した介護サービス・有料老人ホーム業者数は7022 社となり、診療報酬
改定された2006 年4 月直前の2005 年度の2733 社と比べ、156.9%の大幅増で約2.5 倍に急増。売上高総額も4 兆2122 億100 万円で、2005 年度の2 兆1650 億3100 万円と比べ94.6%の大幅増となった。2006 年、2009 年に介護報酬が改定され、参入企業が増加したことが影響した。売上高10 億円以上の企業を見ると、2009 年度は「増収」が594 社、構成比74.4%を占め、「減収」(88 社、構成比11.0%)を大幅に上回った。損益状況においても、「黒字」が582 社で、構成比は92.4%と9 割を超える高水準となった。

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