レポート2013年7月の景気動向調査

景気DIは43.6、前月比1.1ポイント増と2カ月ぶりに改善 ~ 「中小企業」にもアベノミクス効果が現れる ~

2013/08/05

< 2013年7月の動向 : 引き続き上昇傾向 >

2013年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.1ポイント増の43.6となり、2カ月ぶりに改善した。サブプライム問題拡大前の2007年5月(43.8)以来、6年2カ月ぶりの高水準。

7月の金融市場は安定した状況が続いた。平年より早い梅雨明けは夏の観光シーズンの個人消費に好影響をもたらした。また、参議院選挙で衆参のねじれが解消し、長期の政策を遂行する基盤ができた。さらに、住宅に対する駆け込み需要が鉄鋼や建材・家具、家電など関連産業へと広がりをみせており、『建設』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』などを中心として10業界中9業界、51業種中36業種が改善した。規模別ではこれまで大企業を中心としていたアベノミクス効果が中小企業にも現れ、地域別では2013年2月以来5カ月ぶりに全10地域が改善し、『北海道』が初めて第1位となった。

景気改善傾向のなか一時的な減少があったものの、国内景気は、円安による輸出増加に加え、内需関連では住宅販売も改善し、引き続き上昇傾向を示している。

■調査結果のポイント

  1. 『建設』は、復興需要に加えて、省エネや自然エネルギーに関わる設備投資などもあり、2カ月ぶりに改善した。しかし、人手不足による賃金上昇だけでなく、価格転嫁が進まない状況にあり、企業収益は引き続き厳しい状況にある。
  2. 『不動産』は、地価が上昇を示し個人の購買意欲が高まったなか、2カ月ぶりに改善した。株高の影響を受けてREIT関連や個人資産家向けの収益物件の売買が好調だったほか、駆け込み需要などでマンション販売が堅調だった。
  3. 『北海道』『北関東』など全10地域が揃って改善した。『北海道』は、公共事業の施行が本格化したことで『建設』が改善したほか、『製造』や『運輸・倉庫』も2カ月ぶりに改善するなど、調査開始以来で初めて、全10地域中第1位となった。

< 今後の見通し : 回復傾向を持続 >

2014年4月に予定されている消費税率引き上げは、駆け込み需要とその反動をもたらし、景気変動を不安定にさせる要因となる。当面はガソリン価格の上昇や電気料金の値上げがコスト上昇となり、価格転嫁の難しい中小企業の収益環境悪化が懸念される。

他方、気象庁の3カ月予報によると8月から10月にかけての平均気温が平年並か高くなると予測されており、夏場の季節需要が期待される。また、公共事業も本格化するほか、消費税率引き上げ前の駆け込み需要は住宅関連に加えて、自動車や家具などの耐久消費財や服飾品、日用品などにも現れてくると見込まれる。さらに、輸出増加や設備投資の拡大など、業績向上が企業活動に対する好循環を生み出すとみられる。また、衆参のねじれ解消で、安定した政治による政策が期待される。海外経済リスクを考慮しても、

公共事業や輸出、駆け込み需要など好材料が多く、国内景気は回復を持続する見込み。

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