レポート2013年3月の景気動向調査

景気DIは41.3、前月比1.5ポイント増と4カ月連続で改善 ~ 外需関連から内需関連に改善の広がりが現れており、国内景気は回復に向けた動きが顕著になっている ~

2013/04/03

< 2013年3月の動向 : 回復に向けた動き >

2013年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.5ポイント増の41.3となり、4カ月連続で改善した。景気DIが40を超えたのは2007年10月(40.6)以来、5年5カ月ぶり。

円安・株高が進むなかで、安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待から企業心理が改善している。また、ユーロ圏でのキプロス救済の進展や中国のGDP成長率上昇の影響を受け、輸出が回復の兆しを示している。これらの要因を背景に、『建設』や『製造』など10業界中8業界、51業種中42業種が改善した。

外需関連業種に加えて内需関連業種にも改善の広がりが現れており、国内景気は回復に向けた動きが顕著になっている。

・『建設』、年度末需要や震災復興、住宅建築増などで3カ月連続改善で過去最高水準

『建設』は、昨年7月の水害からの災害復旧工事が本格化した『九州』や、『東北』『南関東』『東海』『近畿』など10地域中9地域で改善した。年度末や商業施設・住宅建築需要、復興需要、公共投資の期待先取りなど、2002年5月の調査開始以来で最高となった。

・『小売』、家具や服飾品、自動車など高額商品分野での回復が目立つ

住宅需要の拡大と連動する形で改善している「家具類小売」、前年同月比6.6ポイント増加しているほか、消費者の購買意欲の高まりを受けた「繊維・繊維製品・服飾品小売」、エコカー補助金終了後の落ち込みから急回復している「自動車・同部品小売」など、高額商品分野での回復が目立つ。

・10地域中9地域が改善

『北海道』や『東海』など10地域中9地域が改善した。『北海道』は公共事業の増加への期待感が強いなか、住宅建設など『建設』や『不動産』が上向き、2002年5月の調査開始以降で最高となった。また、『東海』など7地域が2007年以来の高水準となった。

< 今後の見通し : 緩やかな回復傾向が続く >

金融緩和や緊急経済対策による5兆円超の公共投資の執行などが追い風となり、企業マインドの改善転換が期待される。また、米国や中国など海外経済の回復や円安による輸出数量の増加効果が次第に現れてくる可能性がある。さらに、政府は2013年秋に消費税率引き上げの最終判断をするとみられ、年度後半には駆け込み需要が国内需要を押し上げると見込まれる。一方、原材料や燃料価格が再び上昇を示しているなか、円安による輸入価格上昇というコスト上昇が懸念され、4月からの電力・ガスなどインフラにおける公共料金値上げは企業収益にとり下押し圧力となる。

今後は、一部にマイナス材料がみられるものの、企業活動に追い風となるプラス材料は多く、景気予測DIは「1カ月後」、「3カ月後」、「6カ月後」といずれも改善すると見込まれ、

国内景気は緩やかながら回復傾向が続くとみられる。

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