レポート「いざなぎ景気」超えを声高に叫ぶ政府・日銀

2006/05/12
景気動向  コラム

大和

現在の景気回復が「いざなぎ景気」を超えるとの見通しが、政府・日銀関係者やマスコミなどから盛んに聞こえるようになってきた。


確かに、景気は回復基調を続けているが、それが全国一律の底上げとなっていないことは、TDB景気動向調査からも明らかだ。


それを裏付けるように、「回復の実感がない」という声は全国各地から挙がっており、それは雇用や所得などとともに、格差社会の加速を象徴する問題として多くの報道機関でも取り上げられている。


そもそも、今回の景気回復が「いざなぎ景気」を超える可能性があるという話は、今回の回復局面が2002年2月から始まっている、ということが前提となっている。


内閣府発表の景気動向指数がその根拠とされているわけだが、2006年4月には回復期間が51カ月に達した、と言われても実感はなく、ましてや「いざなぎ景気」(57カ月)超えは確実、と言われてもどこの世界の話かと思ってしまう。


「いざなぎ景気」超えへのアピール――。それは、政府・自治体や日銀関係者が、景気回復を実現させたという自らの実績を誇示し、同時に、金融引き締め・増税への地ならしをしているにすぎない。


官には、ぜひとも、景気回復を実感できない全国の声に耳を傾け、官業の民間開放や必要箇所には財政出動などの景気刺激策を行って、さらなる景気の底上げ、そして本格回復に全力を注いでもらいたい。

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