はじめに
安倍内閣は、人口急減・超高齢化という今後日本が直面する課題に対し「地方創生」を打ち出している。各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的・持続的な社会の創生を目指し、まち・ひと・しごと創生本部を設置。産業や企業は地域の雇用創出の源となるため、企業立地動向が人の居住や人の流れといった人口動態に大きな影響を及ぼすことは間違いない。
各自治体間における企業誘致合戦も激化の一途をたどっているが、長野県内にも企業誘致に積極的に取り組んでいる自治体が少なくない。地域活性化のためには雇用の場を確保することが非常に重要となるが、一方で各企業にとって労働力の確保が今後大きな課題となることは避けられず、その安定供給ができるよう定住人口の増加策も推進していかなくてはならない。
帝国データバンクでは今回、2005年~2014年の10年間に長野県への転入及び長野県からの転出が判明した企業を、自社データベース・企業概要ファイル「COSMOS2」(全国146万社収録)から抽出。移転年別、転入企業の移転元・転出企業の移転先、業種・年商規模別に分析した。
なお、本店所在地は本社機能を有する事業所の場所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースもある。
調査結果
10年間で「転入」158件、「転出」116件、「転入」が「転出」を42件上回る
2005年~2014年の10年間で、長野県外から県内へ「転入」した企業は158件。それに対し、県内から県外へ「転出」したのは116件だった。「転入」が「転出」を42件上回っている。「転入」が「転出」の1.36倍となり、47都道府県別では高い方から11番目。なお、「転入」が「転出」を上回ったのは長野県を含む23府県、下回ったのは22都道府県(同数が2県)。
転入企業の移転元・転出企業の移転先とも「東京都」がトップ
転入企業の移転元は「東京都」が81件(51.3%)で半数を超えトップ、2位は「神奈川県」(18件、11.4%)だった。一方、転出企業の移転先も「東京都」(51件、44.0%)、「神奈川県」(13件、11.2%)の順となっている。
業種別では「サービス業」の「転入」が目立つ
「転入」と「転出」を業種別にみると、「転入」は「サービス業」(55件、34.8%)、「転出」は「製造業」(44件、37.9%)がそれぞれ最も多かった。基幹産業の「製造業」の「転入」は33件で、「転出」が11件上回っている。

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