< 2013年8月の動向 : 引き続き上昇傾向 >
2013年8月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比1.0ポイント増の44.6となり、2カ月連続で改善した。改正貸金業法施行で倒産件数が7カ月連続増と下方局面に入っていた2007年4月(45.3)以来、6年4カ月ぶりの水準。
8月は全国的に猛暑となり夏季関連商品・サービスに好影響をもたらした一方、西日本では豪雨被害も発生した。また、株式などの金融市場では米国の金融緩和の縮小懸念などを受けて小康状態が続いた。震災復興に加えて国土強靱化政策による公共投資の本格化で、『建設』『製造』『サービス』などを中心に10業界中7業界(51業種中33業種)が改善した。特に、住宅などの駆け込み需要は建材の製造・卸売といった関連業種へと広がりをみせ、建材関連を中心に5業種が過去最高を更新した。地域別では2カ月連続で全10地域が改善し、『北海道』『東北』『九州』の3地域が過去最高を更新した。
国内景気は、季節要因に加え、住宅への駆け込み需要から関連産業への波及がみられ、上昇傾向が継続している。
■調査結果のポイント
- 『建設』は、2カ月連続で改善し、調査開始以来最高となった。震災復興や国土強靱化による耐震化工事、再生可能エネルギーにかかわる太陽光発電関連工事の増加などが改善要因となった。関連する建材の製造・卸売も過去最高を更新した。
- 『サービス』は、「リース・賃貸」と「専門サービス」が過去最高を更新するなど、15業種中12業種が改善した。建設機械レンタル、訪日外客数や国内旅行の好調などが背景となり、『サービス』は『建設』に次ぐ高水準となった。
- 全10地域が揃って改善した。特に、『北海道』『東北』『九州』の3地域は過去最高を更新した。『九州』は10地域中最大の改善幅となった。防災・減災関連事業の増加や半導体生産の回復など、10業界中6業界が改善した。
< 今後の見通し : 上昇傾向を持続 >
大手製造業を中心に2013年度上半期の企業業績は回復傾向にある。震災復興や国土強靱化政策にともなう公共事業が継続するほか、駆け込み需要は高額商品から日用品へと移りながら2013年度末まで続くと見込まれる。消費者物価が徐々に上昇するなかで、設備投資や新規出店が加速するとみられる。また、2020年夏季オリンピックの東京招致に成功した場合には、全国に経済効果が波及すると期待される。さらに、建設やサービスを中心に企業の雇用不足感は継続しており、雇用環境改善の兆しが現れている。
他方、駆け込み需要後は反動減の影響が現れると見込まれる。また、シリアなど不安定さを増している中東情勢や米国経済の動向による為替変動リスクのほか、輸入価格上昇、原材料高や労務費高騰などコスト負担が高まることなどは懸念材料である。
今後の国内景気は、海外情勢や消費税率引き上げなどマイナス要因を含みながらも、上昇傾向が続くとみられる。
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