レポート道内企業「後継者不在率」動向調査(2022)

後継者不在率、初の70%割れ ~ 5年連続の低下ながら都道府県別では全国4番目の高さ ~

はじめに

地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。

後継者が不在であるなか、新型コロナウイルスによる業績悪化などが追い打ちとなり事業継続を断念する事例も想定され、その回避策としての事業承継支援が今まで以上に注目されている。中小企業庁は2022年3月、従業員承継や第三者承継(M&A)、「引き継ぎ手」により焦点を当てた「事業承継ガイドライン」を新たに改定、円滑な事業承継に向けたサポートを進めている。

帝国データバンク札幌支店は、信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)など自社データベースをもとに、2020年10月-22年10月の3年を対象として、事業承継の実態について分析可能な道内1万654社における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行った。


調査結果

  1. 2022年における北海道の後継者不在率は68.1%となり、コロナ前の2019年からは4.8ポイント、21年の不在率71.0%からも2.9ポイント低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した11年以降、後継者不在率は初めて70%を下回った
  2. 業種別の後継者不在率はすべての業種で前年比低下。『その他』を除く7業種中、最も低かったのは『製造』の61.9%。一方で『サービス』(71.9%)、『建設』(71.0%)、『小売』(70.2%)は70%台となった
  3. 2022年の代表者の就任経緯では、「同族継承」が36.9%で最も高く、次いで「内部昇格」(32.9%)が続いた。「M&Aほか」は19.1%で2割弱となり、「外部招聘」は8.9%で前年比上昇した
  4. 後継者候補で最も多いのは「子供」で44.6%。前年から3.2%低下したが、全国(35.6%)を9.0ポイントと大きく上回る。これに次ぐ「非同族」は38.7%で前年から3.2ポイント上昇した
詳細はPDFをご確認ください

Contact Usお問い合わせ先

担当部署

お問い合わせ先 株式会社帝国データバンク 札幌支店情報部 TEL:011-272-3933