レポート

生活保障としての役割も担う最低賃金制度

なんとか王子

2007年10月、最低賃金が改定された。全国平均で14円(時給687円)、都道府県別では7~20円(同618~739円)の引き上げとなった。今回の改定は、引き上げ幅を時給換算で示す今の制度になって以来、最大である。


10月のTDB景気動向調査で、最低賃金改定に対する企業動向を調査したところ、最低賃金引き上げをきっかけとして給与体系を見直した(検討している)企業は2割弱存在する。そのうち、「最低賃金での採用はしていないが、人材確保のため給与体系を見直した」企業が7割を超える結果となった。最低賃金に直接該当する企業以外での見直しにまで広く波及しており、「売上高人件費率が高い業界は労務倒産しかねない」(運輸、埼玉県)といった経営圧迫を懸念する声も多く、中小企業の危機感は相当に強い。


しかし、今回の引き上げ額が生活保護費など社会的にみて妥当と思うかどうかを尋ねたところ、「妥当」が40.9%、「低い」が26.3%で、「高い」はわずか3.9%にとどまっている。社会的な観点からみると、やはりどこかおかしい、という認識を持っているのだ。


従来、最低賃金の決定では「労働者及びその家族の生計費」や「通常の事業の賃金支払い能力」、「類似の労働者の賃金」が考慮されていたが、現在国会で審議されている最低賃金法改正案では生活保護費との整合性も加えられている。


最低賃金制度が持つ役割そのものについても、改めて見直すべき時期にきているのではないだろうか。

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