レポートTDB景気動向調査2025年03月(中国ブロック:鳥取・島根・岡山・広島・山口)

2025/04/03
景気動向  アンケート

■中国ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

0.3

4カ月ぶりに改善

・概況

『中国』の景気DIは4カ月ぶりに改善した。公共工事の単価が改善する『建設』は4カ月ぶりに改善し、改善幅が業界別で最も大きかった。『小売』は入学や入社時期を控え回復し、2カ月連続で改善した。『サービス』はインバウンド需要に支えられたものの、3カ月連続で悪化して、50を3カ月連続で下回った。輸出産業を中心に、米国の関税政策の影響が避けられない見通しの『製造』は横ばいを挟んで3カ月連続で悪化した。引き続く物価高に加え、トランプ政権の誕生以降、不確実性が高まり続けており、今後の景気は一進一退が見込まれる。

・景気DI

『中国』の景気DIは前月比0.3ポイント増の42.9となった。4カ月ぶりに改善したものの、45を下回るのは20カ月連続。「島根」「岡山」を除く3県が改善した。「全国」(43.5)より0.6ポイント低く、「全国」を4カ月連続で下回った。全国10ブロック別の順位は、前月から横ばいの5位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.8ポイント増の45.9となった。「中小企業」は同0.1ポイント増の42.4となった。うち「小規模企業」は同0.5ポイント増の40.4となった。3区分すべてが改善するのは4カ月ぶりとなった。「大企業」が「中小企業」を横ばいを挟んで25カ月連続で上回り、格差は拡大した。

・業界別DI

5業界が改善、4業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『建設』は前月比2.6ポイント増の43.2となり、4カ月ぶりに改善した。『小売』は、同0.8ポイント増の41.0となり、2カ月連続で改善した。一方、『サービス』は業界別で最も高かったが、3カ月連続で悪化し、50を3カ月連続で下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月から横ばいの44.5となった。「6カ月後」は同0.1ポイント増の44.9で、4カ月ぶりに改善した。「1年後」は同0.2ポイント減の45.4で、4カ月連続で悪化した。前年同月と比べると、3指標がそろって4カ月連続で悪化した。

■広島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

0.7

4カ月ぶりに改善

・概況

「広島」の景気DIは4カ月ぶりに改善した。『小売』は入学や入社時期を控え回復し、4カ月ぶりに40を上回った。公共工事の単価が改善する『建設』は4カ月ぶりに改善し40を上回った。『サービス』は、インバウンド需要に支えられ、2カ月連続で改善して50に近づいた。『製造』は横ばいを挟んで5カ月ぶりに改善したものの、輸出産業を中心に、米国の関税政策の影響が避けられない見通しである。トランプ政権の誕生以降、不確実性が高まり続けており、今後の景気は一進一退が見込まれる。

・景気DI

「広島」の景気DIは前月比0.7ポイント増の43.3となり、4カ月ぶりに改善した。前年同月と比べて0.3ポイント高く、4カ月ぶりに前年同月を上回った。「全国」(43.5)より0.2ポイント低く、4カ月連続で「全国」を下回った。「全国」より改善幅が大きく、都道府県別の順位は25位から19位へ上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.1ポイント増の46.1で、2カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同0.7ポイント増の42.9で、2カ月連続で改善した。うち「小規模企業」は同0.2ポイント増の41.0で、2カ月連続で改善した。4カ月ぶりに3区分がそろって改善した。「大企業」が「中小企業」を22カ月連続で上回った。

・業界別DI

5業界が改善、3業界が悪化、2業界が横ばいとなった。『小売』は前月比3.6ポイント増の40.5となり2カ月連続で改善した。『建設』は3.3ポイント増の42.4となり4カ月ぶりに改善した。ともに改善幅は大きく40を上回った。一方、『運輸・倉庫』は3.3ポイント減の40.5となり、40割れに近づいた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.1ポイント増の44.3で、2カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は同0.2ポイント増の44.1で、4カ月ぶりに改善した。「1年後」は同0.5ポイント減の44.6で、4カ月連続で悪化した。前年同月と比べると、3指標がそろって2カ月連続で悪化した。

■鳥取県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.2

0.6

4カ月ぶりに改善

・概況

「鳥取」は4カ月ぶりの改善となり全国順位も1ランクアップの36位となった。「万博が始まり波及効果に期待ができる」、「従業員の安定と売上増に期待が持てる」(サービス)などの前向きな声がある一方で、「物価高で財布の紐が固い」、「賃金上昇は物価高に追いつかない」(小売)などの厳しい声もあった。米を中心とした食品の値上げなどから嗜好品の購買意欲が高いとは言えないほか、今後も物価高は暫く続き個人消費の先行きは不透明であることを勘案すれば、暫くは一進一退の状況が続くものとみられる。

・景気DI

「鳥取」の景気DIは前月比0.6ポイント増の40.2となった。4カ月ぶりの改善となったが、「中国ブロック」では5カ月連続で最下位となった。全国順位は前月から1ランクアップの36位となった。『中国』は前月から0.3ポイント増の42.9となったが、『全国』は前月と同じ43.5となった。

・規模別DI

「大企業」は前月から大幅減の27.8となった一方で、「中小企業」は前月から1.0ポイント増の40.8となった。これにより規模間格差の逆転現象は13.0にまで拡大した。なお、逆転現象は10カ月連続。「うち小規模」は前月比0.4ポイント減の44.8となった。

・業界別DI

前月から改善したのは『農・林・水産』、『建設』、『製造』、『運輸・倉庫』、『サービス』の5業界となった。一方で、『不動産』、『卸売』、『小売』の3業界が前月から悪化した。『建設』は2カ月連続の改善となったほか、『サービス』、『運輸・倉庫』、『農・林・水産』も前月から大幅な改善となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.1ポイント減の45.5、「6カ月後」は同0.7ポイント増の45.8、「1年後」は同0.4ポイント増の46.0と前月に対しては増減が分かれた。現状より改善に期待する見通しに変わりはなく、『全国』や『中国』も同様である

■島根県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

-1.0

2カ月ぶりに悪化

・概況

「島根」の景気DIは2カ月ぶりの悪化となった。規模別では「大企業」が改善した一方、集計の大半を占める「中小企業」、「小規模企業」が悪化した。業界別では『不動産』、『小売』、『運輸・倉庫』が前月から大幅に悪化したことで、全体を押し下げた。企業からの声では、「節約思考が念頭にあり購買意欲が薄い」(小売)、「燃料油価格激変緩和措置の段階的縮小にともなう燃料価格の値上げが続き、2月も値上げ改定となるなど、運賃転嫁が追いつかない状況」(その他)など、景気低迷が長引く可能性もある。

・景気DI

「島根」の景気DIは前月比1.0ポイント減の41.0となり、2カ月ぶりに悪化した。他方、中国5県のうち3県が改善し、『中国』(42.9)の景気DIは4カ月ぶりに改善した。都道府県順位は前年同月19位から31位に後退し、全国(43.5)との比較でも2.5ポイント下回る結果となった。

・規模別DI

「大企業」(50.0)が前月比8.3ポイント増となったものの、「中小企業」(40.4)は同1.6ポイント減、「小規模企業」(37.5)も同2.9ポイント減と悪化し、前月から一変する結果となった。「大企業」と「中小企業」の格差は9.6ポイントとなり、規模間格差は前月から大幅に拡大した。

・業界別DI

集計対象9業界中、改善は『卸売』、『サービス』の2業界にとどまり、2業界は横ばいとなった。悪化した5業界のうち、『不動産』、『小売』、『運輸・倉庫』は前月から大幅な悪化となった。なお、悪化は小幅ながら『製造』は7カ月連続、『建設』は2カ月連続でDIが30台にとどまるなど、改善の兆しが見えない。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は43.7(前月43.7)、「6カ月後」は44.9(前月45.1)、「1年後」は44.7(前月45.6)となり、「6カ月後」、「1年後」が前月から悪化した。全国(44.7、45.3、45.8)との比較では3指標ともに3カ月連続で下回っており、先行きの不透明感が強まっている。

■岡山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.6

-0.2

3カ月連続で悪化

・概況

「岡山」の景気DIは、前月比0.2ポイント減の43.6となり、3カ月連続で悪化した。受注が好調との声も聞かれる『卸売』は3カ月ぶりに改善し40台を回復した。『小売』は2カ月連続で改善し7カ月ぶりに45を超えた。一方、『サービス』は引き続き50台を維持したものの、直近2年間で一番低い水準となったほか、人材不足や人件費の価格転嫁が進まない『製造』『運輸・倉庫』も悪化した。先行き見通しは3指標ともに悪化したほか、3月の倒産件数は引き続き高い水準が続いており、景気回復には今しばらく時間を要するであろう

・景気DI

「岡山」の景気DIは、前月比0.2ポイント減の43.6となり、3カ月連続で悪化した。『中国』では「広島」「山口」「鳥取」の3県が改善し、同0.3ポイント増の42.9となった。『全国』を0.1ポイント上回ったが、「岡山」の47都道府県別順位は前月11位から15位に、中国5県では1位から2位に後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.7ポイント減の45.7となり2カ月ぶりに悪化した。「中小企業」は同0.1ポイント減の43.2となり3カ月連続で悪化した。うち「小規模企業」は同1.7ポイント増の38.7となり3カ月ぶりに改善した。11カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回ったが、格差は3.1から2.5に縮小。

・業界別DI

9業界中、「悪化」が5業界、「改善」が4業界だった。一時期よりも価格転嫁が進んだことで『卸売』『小売』が改善したほか、『建設』は2カ月ぶりに改善した。一方、自動車・農機関連が振るわず『製造』は2カ月ぶりに悪化した。『サービス』は引き続き50台を維持したものの、前月比5.5ポイント減と大幅に悪化した

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.0ポイント減の43.9、「6カ月後」は同1.1ポイント減の44.2、「1年後」は同0.4ポイント減の45.0となり、3指標がそろって2カ月連続で悪化した。前年同月と比べると3指標がそろって悪化するのは4カ月連続。

■山口県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

0.9

2カ月ぶりに改善

・概況

「山口」の景気DIは43.8と前月比0.9ポイント、2カ月ぶりに前月比改善を示し、都道府県順位は14位と前月から8ランク上昇し、『全国』43.5に比べ0.3ポイント高く、2カ月ぶりに『全国』を上回った。一方、4カ月連続で前年同月を下回った。規模別DI、先行きDI、業界別DIも、それぞれ若干改善している傾向も見られるが、短期間での反動が多く、安心は禁物という印象。また、山口県内の企業からは、従来同様に仕入コスト上昇懸念に加え、案件減少や受注環境の悪化という声も増えており、楽観視できる状況にはない。

・景気DI

「山口」の景気DIは43.8と前月比0.9ポイント、2カ月ぶりに前月比改善を示し、都道府県順位は14位と前月から8ランク上昇した。『全国』43.5に比べ0.3ポイント高く、2カ月ぶりに『全国』を上回った。一方、4カ月連続で前年同月を下回っており、昨年来の傾向は続いている。

・規模別DI

「大企業」が前月比1.4ポイント改善の47.8、「中小企業」は同0.8ポイント改善の43.3、「小規模企業」は同1.9ポイント改善の42.4と4カ月ぶりに全ての規模で改善を示した。「大企業」と「中小企業」の差は4.5で5カ月連続で「大企業」が上回った。

・業界別DI

主要業界では、『小売』は2カ月連続、『建設』は2カ月ぶり、『運輸・倉庫』は4カ月ぶりに改善したものの、『製造』は5カ月連続、『卸売』は2カ月連続、『サービス』は3カ月ぶりに悪化するなど、全体としては引き続き一進一退の状況が続いている印象。

・先行き見通しDI

3カ月後が45.6(前月45.2)、6カ月後は46.6(同45.7)、1年後も47.4(同46.8)と4カ月ぶりに全ての期間で前月比改善を示した。業界別では『卸売』が8カ月ぶり、『運輸・倉庫』が3カ月ぶりに全ての期間で改善を示したが、短期間での反動が大きく、大きく改善しているとも言い難い。

「中国ブロック(2025年03月)」の詳細(鳥取・島根・岡山・広島・山口)