レポート外航海運業者72社の経営実態調査

2011 年度の総収入高 ピーク時から3割落ち込む~ 船舶過剰供給により半数近くが採算割れ ~

2012/11/08
運輸

はじめに

海運業界は、2003 年後半から始まった中国の自由貿易による輸入拡大、BRICsをはじめとした新興国の成長、鉄鉱石や石炭など撒積貨物の荷動きが活発化し、業界全体に追い風が吹いていた。運賃相場は上昇し続け、業界はバブル期を迎えていたが、2008 年9 月に発生したリーマン・ショックを契機に世界の荷動きが急激に減速し、運賃相場が下落したことで収入の減少をもたらしたほか、燃料費の高騰が収益を圧迫。さらに、海運バブルに乗じて発注していた船舶が続々と完成しているため、世界的に船舶が供給過剰状態となり、苦しい経営環境を強いられている。
帝国データバンクは、企業概要データベース「COSMOS2」(143 万社)の中から、72 社の外航海運業者を抽出し、年収入高や損益などを比較した。

✓ 調査対象は、年収入高1億円以上で、2006 年度(2006 年4 月期~2007 年3 月期)から2011 年度(2011 年4月期~2012 年3 月期)までの直近6 期分の収入高及び損益が判明した企業
✓ 増減収推移の「横ばい」は、前年度比±5%とする

調査結果(要旨)

・ 72 社の総収入高は、2010 年度に前年度比14.0%増の約4 兆962 億円に増加したものの、2011年度は、約3 兆8695 億円に減少し、ピーク時の2007 年度より29.9%減。
・ 2011 年度の「赤字」企業は、判明した50 社中23 社(構成比46%)。
・ 上場企業10 社中、2011 年度は「増収」企業が3 社、「減収」企業が前年度でゼロだったのに対し3 社に増加。
・ 運航エリア別の2011 年度の総収入高は、「世界各地向け」が前年度比6.3%減、「中国、韓国、東南アジア向け」が同1.7%減とそれぞれ下回った一方、「中近東向け」が同4.0%増となった。

20121108_外航海運業者72社の経営実態調査.pdf

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