レポート「カレーライス物価指数」調査―2025年7月分

2025年7月のカレー物価は1食438円 2カ月連続で前月から低下

2025/09/10

株式会社帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。           

SUMMARY

2025年7月のカレーライス物価は1食438円(前年同月342円)となった。

前月からは▲2円と2カ月連続で値下がり(低下)した。

最新の物価動向に基づく2025年8月の予測では1食437円となり、2024年以降続いた急激な値上がり局面は一旦ピークを越えたとみられる。                                 

[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数

各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした

カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移

(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100

【原材料】ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:約1合[炊飯前重量])、カレールー(市販)、食用油【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)


2025年7月のカレーライス物価: 1食あたり438円

2カ月連続で前月から値下がり(低下)

カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」は、2025年7月時点で1食あたり438円となった。1年前の2024年7月(342円)からは+96円・28.1%増と、13カ月連続で前年同月比2ケタを超える大幅な上昇が続いたものの、金額ベースの上昇幅では5カ月ぶりに上昇幅が100円を下回るなど、上昇ペースは鈍化した。また、前月(440円)からは▲2円と、2022年7月以来、3年ぶりに2カ月連続で前月を下回り、3カ月ぶりに1食440円の水準を下回る水準となった。銘柄米を中心にコメ価格の急激な上昇ペースが一服したほか、ニンジンなど野菜類の価格も落ち着いたことが要因となった。

カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、210円(前年同月211円、▲1円)だった。前月から4円低下し、2カ月連続で前月を下回ったほか、前年同月との比較でも2023年7月以来、2年ぶりに低下した。タマネギをはじめ、野菜類の生育が総じて順調で、平年並みの価格に落ち着いたことで、210円台と高値で推移したものの上昇ペースは一服した。「ごはん(ライス)」価格は、コメの店頭価格が高止まりしていることを背景に、前年同月(101円)から+95円・9割増の196円と大幅に上昇し、過去最高値を更新した一方、前月からは+1円にとどまり、直近1年でみると上昇幅が最小となった。「カレールー」(28円)は、市販ルーや食用油が値上げされたことが要因となり、3カ月連続で前月から上昇した。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)は変動がなかった。

カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2025年7月の指数は159.9となった。指数ベースで160を下回るのは2025年4月以来、3カ月ぶり。前年同月比では28.1%高く、26カ月連続のプラスとなったものの、伸び率は2カ月連続で前月から縮小した。カレーライス物価は5年間で6割に迫る値上がりとなったもの、2025年5月をピークとして緩やかな低下傾向となった。

今後の見通し:2025年8月=1食437円の予想 

急激な値上がりはピーク越えるも、値下げは緩やか

全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した2025年8月のカレーライス物価は、7月比▲1円となる1食437円前後と、3カ月連続で前年を下回る水準で推移する可能性がある。主な上昇要因となるコメ価格が、備蓄米の放出を背景に銘柄米で上昇ペースが鈍化した影響が大きく、カレーライス物価は5月をピークに当面は緩やかな低下傾向で推移する見通し。他方、カレーライス物価を構成する野菜類(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)の価格は、高温や少雨による生育不良を背景に横ばい~高値での推移が見込まれ、大幅な値下がり局面は期待できない状況が続く。

今後のカレーライス物価は、今秋まで430円台前後での推移が予想される。近年例を見ない価格上昇圧力を反映し、例年に比べて記録的な高値圏での推移が続いたものの、急激な値上がり局面はいったんピークを越えたとみられる。ただ、早場米を中心に高値取引が続く2025年産米の動向、各種野菜類の生育状況などに左右されながら、再び急激な値上がり局面を迎える可能性もある。

20250910_全国カレーライス物価調査

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