レポート

「事業存続型倒産」の実態調査(2025年度)

事業存続型倒産は167件 4年連続の増加、存続率は35.8%に上昇

2026/10/29

SUMMARY

経営が行き詰まり倒産しても、何らかの形で「事業」が存続した「事業存続型倒産(※)」は、2025年度で167件判明。4年連続の増加となり、倒産全体に占める割合(事業存続率)は35.8%と前年度比2.9ポイントの上昇となった。中小企業活性化協議会への相談件数は初めて1万件を超え、金融機関や実務家の支援の下、事業再生スキームの普及が進んだ。業種別では、事業性が評価されやすく、半導体関連を中心に好況が続く「製造業」の存続率が上昇。

帝国データバンクでは、2025年度で発生した負債5億円以上の倒産(法的整理)を分析。※倒産前後や手続き内での事業譲渡や自主再建等によって、法的整理後も当該企業の「事業」が存続したものを「事業存続型倒産」と定義、集計した。「会社更生法」「民事再生法」…自主再建型(会社も事業も存続)や事業譲渡型(事業のみが存続)等が確認できたもの。更生・再生計画が遂行できず事業が存続できなかったケースは該当しない。「破産」…会社の清算を前提とした法的申請前後での事業譲渡等が確認できたもの。「特別清算」…会社の清算を前提とした事業譲渡、第二会社方式等が確認できたもの。

2026年度は存続率40%超えの可能性、負債50億円以上では6割超が事業存続

 2025年度の事業存続型倒産(負債5億円以上)は、前年度を6件上回る167件判明し、4年連続の増加となった。負債5億円以上の全倒産に占める割合(事業存続率)は、35.8%と前年度比2.9ポイントの上昇となった。小規模事業者の淘汰が進む一方、一定以上の事業(負債)規模のあった企業については、事業性を評価した再生(事業存続)への意識が高まっていることがわかる。なお、2026年度に入っての累計では、存続率は概ね40%以上で推移しており、年度終了時の存続率が40%を超える可能性がある。

負債5億円未満も含めた企業倒産全体の傾向を見ると、件数では増加局面にあるものの、負債規模の小口化が進み完全失業率との相関性も薄れていることから、企業倒産が社会に与えるネガティブインパクトは以前に比べて小さくなっている(参考図表)。背景には、人手不足に伴う人材の流動性上昇等があると同時に、事業存続型倒産に代表されるような事業と雇用の存続や、私的整理等を活用した負債の低減(対象債権者を絞った債務カット等)といった政策的な試みが機能し始めているとも言える。

負債50億円以上では6割超が事業存続

業種別では、「サービス業」が41件で最多。また、事業性が評価されやすく半導体関連を中心に好況が続く「製造業」の存続率上昇(8.1ポイント上昇)が目立つ。事業面での差別化が難しい「建設業」の存続率は21.3%にとどまった。業種細分類でみると、件数ベースでは「旅館」の11件(存続率64.7%)が最多。存続率では「ゴルフ場」の100%(5件)、需要拡大が見込める「老人福祉事業」66.7%(4件)や「旅館」、市場が活発で経営資源(人材)の承継価値が高い「労働者派遣業」60.0%(3件)が続いた。一方で、業者の代替性が高い「内装工事業」や「生鮮魚介類卸売業」、「不動産代理業・仲介業」では存続率が0%だった。

地域別では、「関東」が57件で最多となったが前年度から14件減少し、存続率も32.6%と7.5ポイント低下した。一方で、「近畿」が17件増の32件となり、前年度10%台だった存続率も35.2%まで上昇した。存続率では、「中国」が67.9%と突出して高く、19件のうち民事再生が約半数の9件を占めた。

負債規模別では、負債50億円以上の大型倒産で存続率が60%を超えた。高い事業価値、相応の事業規模を誇りながらも収益面や財務面に課題を抱える企業に対し、通常の再建型だけでなく特別清算や破産などの法的処理を組み合わせながら事業存続の可能性を探り、地域経済へのダメージを最小限にとどめる動きが定着し始めていることがうかがえる。

態様別では、「会社更生」「民事再生」の再建型手続きでは、ほとんどすべてが事業存続型となった。また、私的整理スキームの最終処理として利用されることの多い「特別清算」による事業存続が83件と最も多く、事業存続率は87.4%と前年度から20ポイント近く上昇した。

20261029_事業存続型倒産(2025年度)

Contact Usお問い合わせ先

担当部署

株式会社帝国データバンク 情報統括部 TEL:03-5919-9341 Email:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp