レポート

日銀の追加利上げが企業に与える影響度調査 (2026年9月)

中小企業の借入金  金利0.25%上昇で 46万円の負担増 試算

株式会社帝国データバンクは、保有する企業データベースのうち直近1年間に決算を迎えた企業財務データを対象に、企業の借入金利引き上げに対する影響度について調査・分析を行った。各平均値は、上下各5%、計10%のトリム平均値を使用した。同様の調査は、2025年12月に続いて4回目。                 

SUMMARY

日本銀行は9月18日、政策金利を1.00%程度から1.25%程度に引き上げると発表した。企業の借入金利が現行から0.25%上昇すると、1社当たり平均で年間46万円の支払利息負担が増加し、経常利益を平均1.9%押し下げる試算となった。この結果、新たに1.6%の企業が経常赤字に転落する可能性がある。

【分析企業】

長短借入金を含む「有利子負債」と、それに伴う「支払利息」が発生している企業。対象は全国約16.8万社(全国・全業種)

決算期末のデータに基づくため、借入金の返済・借り換え、追加での借り入れによる有利子負債の増減については考慮していない

【用語定義】

借入金利:有利子負債(銀行等、保険、ノンバンク、個人借入等を含む借入金、社債、CP等を含む総額)に対する利息の割合


金利「0.25%上昇」、平均で年46万円の負担増

日本銀行は9月17・18日に開かれた金融政策決定会合において、政策金利(無担保コールレート翌日物の誘導目標)を現行の1.00%程度から0.25ポイント引き上げ、1.25%程度で推移するよう促すことを決定した。政策金利の引き上げは2026年6月会合以来3カ月ぶりで、1995年以来およそ31年ぶりの高い水準となる。今後、日銀の利上げに応じて市場連動型の貸出金利や、メガバンクなどが貸出金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)、住宅ローン金利等が上昇するなど「金利ある世界」への移行がさらに進み、企業の資金調達面で影響が拡大する公算が大きい。

帝国データバンクでは、2025年度(2025年4月~26年3月)に決算を迎えた企業で、長短借入金を含む有利子負債を有する約16.8万社を対象に、借入金利の上昇に伴う支払利息への負担や、経常利益に与える影響について、2025年1月調査以来、4度目の分析を行った。借入金利の上昇幅は、現行の借入金利から+0.25%~最大+2.00%のシナリオを想定してそれぞれ試算した。なお、決算期末のデータに基づくため、決算期末以降の借入金の返済・借り換え、追加での借り入れによる有利子負債の増減については考慮しないものとした。 

この結果、企業の借入金利が現状から0.25%上昇した場合、最新の試算では1社当たり平均で年間46万円の支払利息負担が新たに発生し、経常利益を平均1.9%押し下げることが分かった。また、金利上昇にともなう金利負担の増加で経常損益が黒字から赤字へと転落する企業は対象約16.8万社のうち約2700社・1.6%発生する試算となった。

今後、日銀により3カ月ごとの利上げが続く可能性もあるなか、26年末までに借入金利が現在から0.50%上昇(金利1.50%前後)すると利息負担は1社当たり平均で年92万円、経常利益の押し下げ幅は3.8%に拡大し、赤字に転落する企業は約5500社・3.3%となる。将来的に1.00%程度上昇する場合(金利約2.00%前後)、利息負担は1社あたり平均で年185万8000円、経常利益ベースで7.7%の押し下げとなり、約1万社・6.2%が新たに赤字へと転じる可能性がある。

業種別では、「不動産業」の受ける影響が最も大きく、借入金利が0.25%上昇した場合、利息負担は1社当たり平均で年間約230万円の増加、経常利益ベースで平均5.4%押し下げられる試算となった。金利引き上げによって経常黒字から赤字に転落する企業も3.6%を占める。最も負担が小さいのは「建設業」で、利息負担は1社当たり平均で年間16万円の増加、経常利益では1.4%減となった。


「金利上昇」企業経営へ徐々に波及:企業の借入金利は平均1.3%台、6年ぶり高水準

帝国データバンクが調査した2025年度の企業の平均借入金利(調達金利、9月時点集計値)は1.34%となった。大幅な上昇を記録した前年度(1.20%)を上回り、2019年度(1.36%)以来6年ぶりに1.3%台での推移となる見通し。低金利であるコロナ融資の借り換えや返済が進んだこと、長期金利の上昇が背景として挙げられ、これまで極めて低く抑えられてきた「超低金利の世界」から「金利のある世界」への転換が着実に進んでおり、企業経営でも金利上昇による影響が徐々に表面化してきている。

今回の利上げに伴う影響度調査で、借入金利が0.25%上昇した場合、1社平均では年間で46万円分の利息負担増が発生し、経常赤字に転落する企業は1.6%となる試算となった。ただ、2025年1月調査時の試算に比べて赤字転落企業の割合は0.2ポイント低下する見通しで、金利上昇によるコスト増を収益力の向上でカバーする動きがみられる。特に、コスト増加分を価格へ転嫁するといった動きが進んだことで収益力が改善した企業は多いほか、現預金を多く保有する企業では預金利息の収入増による恩恵も見込まれる。結果として利上げによる影響は前回試算に比べてやや縮小しており、収益改善や価格転嫁の進展によって、金利上昇への対応力が高まる動きもうかがえる。

資金繰りの悪化を借入金等で補填してきた中小企業にとっては、急激な金利環境の変動による支払利息の増加で資金繰りが一層厳しい局面に直面するとみられる。業況が苦しい企業や借入過多の企業にとっては、利上げ局面に対応した企業経営への早期の軌道修正が求められる。

 

260918_日銀の追加利上げが企業に与える影響調査(2026年09月)

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