レポート

今年の「夏コミ」、経済効果は 155億円の試算 前年比4%増 

「オタク消費」が6割を占める

同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」は、日本最大級のコンテンツ消費イベントとして知られる。2026年8月に開催された「コミックマーケット108(夏コミ)」について、来場者数および居住地分布、消費行動などを基に試算したところ、関連産業への波及効果を含めた総経済効果は約155億円に達した。単なる同人誌即売会の枠を超え、交通、宿泊、飲食、小売など幅広い産業を動かす巨大消費イベントとしての存在感が鮮明となった。


株式会社ドコモ・インサイトマーケティングの協力を得て、携帯位置情報による人流データ「モバイル空間統計(R)」と、コミックマーケット準備会などの公表データを基に、帝国データバンクが試算した。

来場者による「交通費」「宿泊費」「飲食費」「物販費(同人誌・グッズ購入費)」――の4項目を設定し、コミケ開催時における消費等の誘発額を分析した。その結果、直接的な経済効果は約86億円で、周辺産業への波及効果を含めた総経済効果は約155億円の試算となった。直接効果の約1.8倍に相当する規模で、コミケ開催による支出が幅広い産業へと波及していることが分かる。また、同一条件下で試算した前年開催の夏コミ(C106)の総経済効果・148億円と比較すると4.7%増加した。

2026年夏コミの総経済効果における内訳は、同人誌やグッズなどの「物販費」が最も大きく、全体の約6割を占める約99億円に上った。「飲食費」(約27億円)、「宿泊費」「交通費」(各約15億円)を大きく上回った。コミケで発生する経済効果は、来場者の移動や滞在よりも、会場でのコンテンツ購入によって支えられている構図が鮮明となった。

一般的な観光イベントでは、交通機関や宿泊施設で発生する消費が経済効果の中心となるケースが多い。一方、コミケでは来場者による同人誌やイラスト集、キャラクターグッズなどへの支出が中核を担っており、「購入するためのイベント」としての性格が強いことが特徴となる。

また、人流データを基にした分析では、コミケが開催された東京ビッグサイト周辺の人流のうち、約7割は東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏在住者が占めた。北海道や関西、九州など遠方からの参加もあるものの、割合としては首都圏に比べて大幅に低い水準にとどまる。近年のホテル料金や交通費の上昇を背景に、「遠征組」の負担は増していることも要因とみられる。コミケは依然として全国からファンが集まるイベントであるものの、来場者構成は首都圏中心が固定化している。


物価高や猛暑など、コミケを取り巻く環境は大きく変化している。とはいえ、約155億円に上る経済効果の実態をみると、創作活動とファン消費が生み出す巨大な「コミケ経済圏」は、今なお強い存在感を放つイベントだと言えよう。

※「モバイル空間統計」および「モバイル空間統計」ロゴは、株式会社NTTドコモの登録商標です

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