レポート

エネルギー価格上昇に対する企業の政策要望調査

政府に望むエネルギー対策、「安定供給」が 4 割超でトップ “中東危機”で重要性浮き彫り 〜「補助金」は 3 割超、持続性を疑問視する声も〜

SUMMARY

政府に望むエネルギー価格上昇に対する政策では、「エネルギー安定供給の確保」をあげた企業の割合が45.0%で最も高かった。中東情勢の悪化を受け、エネルギーの安定供給の重要性が改めて浮き彫りとなったことが背景にあるとみられる。次いで、足元のコスト負担を軽減する「電気・ガス料金補助の継続・拡充」が3割超で続いた。「エネルギーコストの価格転嫁支援」は2割超となり、コスト増による利益圧迫の緩和につながる政策へのニーズもうかがえた。

株式会社帝国データバンクは、全国2万2,572社を対象に、エネルギー価格上昇に対応するために、政府に望む支援や政策についてアンケート調査を実施した。

  • 調査期間:2026年6月17日~6月30日(インターネット調査)
  • 調査対象:全国2万2,572社、有効回答企業1万413社、回答率46.1%

企業の4割超が「エネルギー安定供給の確保」望む

中東情勢の悪化を背景に、原油やLNGの輸入価格に上昇圧力がかかっており、電気・ガス・ガソリン料金などエネルギー価格への波及が進んできた。一方で、政府の負担軽減策により足元の価格上昇は一定程度抑制され、ここに来て米国・イランの停戦合意を受けて原油価格は低下に転じているものの、エネルギー価格の上振れリスクが払拭されるまでには至っていない。

エネルギー価格上昇に対応するため、政府に望む支援や政策について尋ねたところ、エネルギー調達先の多様化や長期契約の強化など「エネルギー安定供給の確保」をあげた企業の割合が45.0%で最も高かった(優先順位が高いもの 3つまでの複数回答、以下同)。背景には、中東情勢の悪化にともなう原油価格の上昇や供給不安を受け、特定地域への調達依存リスクが改めて認識されたことがあるとみられる。

また、短期的な負担軽減策である「電気・ガス料金補助の継続・拡充」(34.0%)や「燃料費への直接補助」(32.1%)、電気代の消費税やガソリン税の減税など「エネルギー関連税の軽減」(21.0%)が上位に並んだ。加えて、取引の適正化を含む「エネルギーコストの価格転嫁支援」(22.4%)、「省エネルギー設備投資の支援」(20.7%)も2割台となり、コスト増による利益圧迫の緩和や中期的なエネルギーコスト負担の軽減を後押しする政策へのニーズもうかがえた。

一方で、電化・水素化を含む「エネルギー転換支援」(5.8%)や送電網の増強など「送配電網などインフラ整備」(4.2%)、「地域新電力の活用促進」(2.0%)などは1割未満にとどまった。

企業が望むエネルギー価格上昇に対する政策(3つまでの複数回答)

企業からは、「今回のイラン情勢は、原油輸入元を多様化する必要性があることの証明になった。政府には、中東以外の地域の原油でも精製できる設備の創設を支援してほしい」(自動車・同部品小売)といった声が聞かれた。

また、「当社の主力商品のプロパンガスに関する補助金は各地域での取り組みとなっているため、全国的な補助金制度を確立してほしい」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)など、補助金の充実を望む声も複数あがった。一方で、「補助金は結局国民の税金・借金から成り立っているため、根本的な問題解決にはなっていない。政府には長期的にどうするのか方向性を示してほしい」(化学品製造)のように、補助金の持続性に疑問を呈し、抜本的な対策を求める意見も寄せられた。

加えて、「中小企業が適正な価格転嫁を行える環境整備や、燃料費・設備投資への支援の継続を希望する」(建設)の声にあるように、中小企業を中心に負担軽減策のみならず、価格転嫁の促進に向けた支援を求める様子もうかがえた。

本調査の結果から、企業は昨今のエネルギー価格上昇への対応として、エネルギー転換やインフラ整備よりも、中東情勢の悪化を受けて重要性が改めて浮き彫りとなった「安定供給の確保」や、足元のエネルギー価格高騰に対応するための「負担軽減」「価格転嫁支援」を重視していることが明らかとなった。2026年の夏も酷暑が見込まれ、電気料金をはじめとするエネルギーコスト負担のさらなる増加が懸念される。そうした状況下、政府には財政負担も考慮しながら、短期的な負担軽減策のみならず、調達先の多様化など安定供給の確保や、中長期的なエネルギー政策を両立して推進していくことが求められる。

 

<参考>企業からの声

主な企業からの声

業種51分類

再生可能エネルギーの設備投資に国が今まで以上に力を注いでほしい

建設(土木工事)

中東依存度を下げるだけでも、リスクはかなり減少すると考える

建設
(建築金物工事)

50~60年ものの原子炉を使っているのが一番不安なので、入れ替えや発電構成の見直しなどを行い、輸入に頼っている部分の見直しをしっかりと行ってほしい 

不動産(貸事務所)

世界的な流れであり、日本だけで解決できるとは思わないため、高くなったエネルギー価格を受け入れることができる企業体質の強化と、客先に転嫁できるための後押しが必要だと考える

鉄鋼・非鉄・鉱業
(金属プレス製品製造)

エネルギー価格上昇分を販売価格へ転嫁しても購買力が衰えないくらいに、実質賃金を上昇させてほしい

鉄鋼・非鉄・
鉱業製品卸売
(鉄鋼卸売)

補助金などで価格が抑制されるのは望ましいが、税負担が大きくなるのも困るため、そのバランスをもって対応してほしい 

機械・器具卸売
(サービス用・民生用
一般機械器具卸売)

エネルギー価格の上昇はやむを得ないと思うが、モノがないのは死活問題。資金繰り支援を切に願う

自動車・同部品小売
(二輪自動車小売)

エネルギー価格や原材料価格の高騰により、地方の中小・零細企業は大きな影響を受けている。価格転嫁が難しい業種も多く、利益が圧迫され年々厳しさが増している。減税や負担軽減など、実効性のある支援策を期待する

旅館・ホテル
(旅館)

エネルギーを含む輸入品全般に影響する「円安」の是正に向けた政策強化を望む

リース・賃貸
(建設機械器具賃貸)

IT関連ではサーバーや冷却装置において、電気の消費率が非常に高い。法人・個人を問わず国からは補助金や減税などの制度を強化してほしい

情報サービス
(ソフト受託開発)

補助金は現段階では助かるが、そう長く続けることはできないと思うので、エネルギーの安定供給に向けて諸外国と協力しながらサプライチェーンを強固なものにしてもらいたい

専門サービス
(土木建築サービス)

20260706_ エネルギー価格上昇に対する企業の政策要望調査.pdf

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