レポート

「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年6月

飲食料品値上げ 5年連続1万品目突破へ 「中東情勢」由来が2割

株式会社帝国データバンクは、2026年6月以降における飲食料品の値上げ動向と展望・見通しについて分析を行った。 

SUMMARY

2026年6月の飲食料品値上げは、合計1078品目となった。

2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となった。6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通し。

中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。         

[注]

品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした

値上げ率は発表時における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む


2026年の値上げ、1万品目突破へ 「中東情勢」由来が2割

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした6月の飲食料品値上げは1078品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となった。単月の値上げ品目数が1千品目を超えるのは、2026年4月以来2カ月ぶり。前年6月(1940品目)からは半数程度にとどまったものの、前月(84品目)からは13倍と大幅に増加した。6月以降の値上げでは、中東情勢の影響を受けてトレーやフィルムの原料となるナフサの値上げ分を価格に反映する動きもみられた。

2026年6月の値上げを食品分野別に集計すると、最も多いのは香辛料やふりかけ類を中心とした「調味料」(450品目)だった。「加工食品」(304品目)は、納豆製品や缶詰、即席麺などが中心だった。

2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となった。早ければ6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通し。前年同時期(2025年5月末時点:1万6224品目)に比べ、予定を含め前年比4割減ペースで推移した。夏以降の値上げ品目数が大幅に増加しており、7月は2269品目と、4月以来3カ月ぶりに単月で2千品目を超え、2025年12月以来7カ月ぶりに前年を上回る。また、8月(849品目)・9月(580品目)ともに単月で1千品目を超える可能性がある。

食品分野別では、冷凍食品やパックごはん、缶詰、即席麺などの「加工食品」(3029品目)が最も多く、マヨネーズ類やドレッシング類などの「調味料」(2537品目)、PET飲料のほかビール飲料、焼酎・ワインなどの「酒類・飲料」(1494品目)が続いた。「パン」(978品目)は、2025年に続き食パンや菓子パンなどで一斉に値上げとなる。

値上げ要因では、「原材料高」の影響を受けた値上げが97.7%を占め、全要因のなかでは最も高いものの、3月以降は低下傾向で推移した。一方で、「包装・資材」(73.7%)は前月を上回り、5月末時点の水準として初めて7割台での推移となった。トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰をはじめ、中東情勢による影響が要因となった値上げ(「中東情勢」)は22.7%を占めた。

このほか、「物流費」(74.1%)は中東情勢の悪化による原油高などの影響を背景に前月末から上昇し、2026年内では最も高い水準となった。「人件費」(54.7%)は上昇したものの、「エネルギー(ユーティリティコスト)」(53.0%)は低下した。中東情勢の悪化による資材高や輸送コストの上昇分を価格へ転嫁する動きが強まっている半面、賃上げなど労務費由来の値上げが相対的に弱含み傾向にある。


2026年の見通し: 「ナフサ供給難」 食品で値上げラッシュ再燃

2026年の値上げは、政府による輸入小麦の売り渡し価格引き上げや、1ドル160円にせまる円安水準の長期化に加え、2025年から続く物流・人件費など「粘着的」な値上げ圧力は高かった。ただ、長期化する物価高の中で消費者の購買余力も限られ、店頭価格の一段の上昇が購入点数の減少を招きかねないとの危機感も背景に、近時は大規模な値上げを見送るほか、価格を据え置いたまま容量を減らす「実質値上げ」で対応するケースが多くみられ、年内の値上げペースは緩やかなものにとどまるとみられた。

こうしたなか、米国とイスラエルによるイランへの攻撃で急激に高まった中東地域の地政学的リスク、ホルムズ海峡の混乱が国内産業にも波及し、石油由来の樹脂素材の供給力低下やコスト上昇圧力が顕著となっている。こうしたなか、食品分野でもインクや食品フィルム、トレー類などで大幅な値上げや品薄状態が続き、解消の見込みも立っていないことから、商品パッケージの変更や一部商品の製造休止、商品点数の集約など、商品の安定供給に向けた体制を確保する動きが進んでいる。また、包装資材やエネルギー、物流費の上昇分を製品価格へ転嫁する動きも次第に表面化してきた。実際に、中東情勢の悪化によるコスト高などを理由とした値上げは、年内約9000品目のうち5月末時点で2割を超えており、今後はさらに高まる可能性が高いとみられる。

こうした情勢を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。年間の値上げ品目数累計は5年連続で1万品目を突破するとみられ、2022年以降で最少だった24年(1万2520品目)を上回る可能性もある。

20260529_価格改定動向調査(2026年6月)

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