レポート

「円安倒産」動向調査(2026年2月)

「円安倒産」 2025年度の累計は69件 過去10年で2番目の水準

株式会社帝国データバンクは、円安の影響を受けて倒産した企業の倒産発生状況について調査・分析を行った。

SUMMARY

2025年度の 「円安倒産」は、69件となった。業種別では「卸売業」(38件)が最も多く、全体の過半数を占めた。次いで「小売業」(13件)が続き、上位2業種で全体の7割を占め、特に繊維・アパレル関連が目立った。円安による輸入コストの増加で収益性が悪化し、事業継続を断念するケースが多くみられ、今後しばらく現状のペースで推移するとみられる。

集計期間:2013年1月~2026年2月28日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産

「円安倒産」2月は5件、2月としては過去10年で最多

円安による輸入コストの上昇などが直接・間接要因となって倒産した「円安倒産」(負債1000万円以上、法的整理)は、2026年2月に5件判明した。2022年6月以降、45カ月連続で「円安倒産」が発生しており、2月としては2022年の急速な円安進行の影響が表れた2023年(4件)を上回り、過去10年で最多となるなど、円安の影響を受けた倒産が目立ち始めている。また、2025年度(2026年2月までの11カ月累計)は69件と、前年同期(71件)に迫っており、2024年度(80件)を上回り過去10年で最多となる可能性もある。

2025年度の「円安倒産」を業種別にみると、最も多いのが「卸売業」(38件)で全体の半数を占めた。次いで「小売業」(13件)が続き、上位2業種で全体の7割を占めた。特に、繊維原料や衣料製品を輸入に依存する繊維・アパレル関連(製造・卸・小売り)が25件と目立った。このほか、飲食関連(製造・卸・小売り)では8件、家具・建具関連(製造・卸・小売り)では6件判明した。これらの業種では、コロナ禍での個人消費の低迷により、売り上げが落ち込んでいたなか、円安による仕入れコストの上昇が追い打ちをかけ、事業継続を断念するケースが多くみられた。

具体的な事例としては、レディースアパレルの企画・販売を行っていたズーティー(兵庫、2025年6月破産)は、新型コロナの影響もあり売り上げが落ち込んでいたなか、2022年以降は円安基調により仕入れ価格が高騰。収益性が悪化していたなか、コロナ融資の返済負担が重荷となったことで資金繰りが限界に達し、事業継続を断念した。また、靴下の製造を行っていた三ッ星靴下(奈良、2025年12月破産)は、過去の設備投資により膨らんだ有利子負債を抱えて資金繰りが悪化していたなか、為替が円安に振れ、原材料価格が上昇したことで採算が悪化し、事業継続が困難となった。

1月14日の東京外国為替市場で、円相場は1ドル=159円台に値下がりし、2024年6月以来の水準まで円安ドル高が進んだ。直近では、日米の金利差や新政権の積極財政方針から1ドル=150円台半ばで推移しており、依然として円安基調が続いている。円安は輸出企業では収益の拡大につながるものの、内需型の中小企業を中心に原材料など輸入価格の上昇から収益性の悪化が進んでおり、「円安倒産」は今後しばらく現状のペースで推移するとみられる。

20260303_「円安倒産」動向調査(2026年2月)

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