レポート

人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)

企業の52.3%が正社員不足 4年連続で半数超の高水準 建設業者の7割が正社員不足、非正社員は「飲食店」など3年連続改善

SUMMARY

正社員の人手不足を感じている企業の割合は、2026年1月時点で52.3%、非正社員では28.8%となった。業種別では「建設」など7業種が6割を上回ったのに対し、非正社員では「人材派遣・紹介」だけが6割を超えた。建設業を中心に、人手不足により案件を受注できないとの声が多く、現役世代の高齢化や引退により、正社員の人手不足割合は今後も高水準で推移するとみられる。

株式会社帝国データバンクは、全国2万3,859社を対象に、「雇用過不足」に関するアンケート調査を実施した。
なお、雇用の過不足状況に関する動向調査は2006年5月より毎月実施し、今回は2026年1月の結果をもとに取りまとめた。
調査期間:2026年1月19日~1月31日(インターネット調査)
調査対象:全国2万3,859社、有効回答企業数は1万620社(回答率44.5%)

正社員不足の企業は52.3%、1月としては4年連続の半数超

2026年1月時点において、正社員の不足を感じている企業は52.3%で、1月としては4年連続で50%を超えた。前年同月(2025年1月、53.4%)から1.1 pt低下したものの、引き続き高水準で推移している。

一方、非正社員の不足を感じている企業は28.8%だった。こちらも前年同月から1.8 pt低下し、1月としては2年ぶりに3割を下回った。

正社員・非正社員の人手不足割合 月次推移

<業種別>
正社員:「建設」が69.6%でトップ、人手不足で受注できず

正社員の不足を感じている企業の割合を業種別にみると、「建設」が69.6%(前年同月比-0.8 pt)で最も高かった。企業からは、「案件があっても人手不足で受注ができない。また、人件費や材料費増も受注単価に転嫁できていない」(土木工事、奈良県)や、「以前のような受注価格の下げ競争は少なくなったが、業界全体の人材不足により、人材を揃えられる分しか受注しないし、できない」(給排水・衛生設備工事、静岡県)といった声があがった。

次いで、ソフトウェア開発や情報処理サービスなどを含む「情報サービス」(69.2%、前年同月比-3.3pt)が続いた。AIを活用したサービスの広がりやDX化による受注が増えるなか、「開発案件はあるが、人手不足感がある。誰でも対応できるものではなく、一定の開発スキルが求められるため、案件と技術者のマッチングが難しくなりつつある」(ソフト受託開発、東京都)といった声が聞かれ、案件に適した人材の確保が難しい状況がみられる。ただし、2年前の2024年1月(77.0%)と比べると7.8pt低下しており、「システム開発の中小受託事業者においては、AIの性能向上や普及に伴い、一時的な需要減が起きている」(ソフト受託開発、千葉県)のようにAIの普及による不足感の落ち着きもあるとみられる。

また、低賃金や不規則な労働環境といった要因から慢性的に人手が不足している「メンテナンス・警備・検査」(67.4%、同+0.9pt)や、公共工事減少などの影響を受けた建設業者からの発注が減る「リース・賃貸」(66.0%、同+0.1pt)など、51業種中7業種が6割を上回る結果となった。

人手不足割合 業種別

非正社員:「飲食店」「旅館・ホテル」は3年連続の改善

非正社員の不足を感じている企業の割合を業種別にみると、「人材派遣・紹介」が60.0%(前年同月比 -5.3pt)で最も高かった。2025年7月以来のトップとなり、企業からは「人手不足により、採用コストが上がっている」(労働者派遣、群馬県)といった声が聞かれた。

2番目の「飲食店」(58.6%、同-2.1pt)は、原材料費が増加するなか、人手を集めるための人件費負担も大きい。また、正社員不足とともに前年同月から上昇する「メンテナンス・警備・検査」(54.6%、同+1.3pt)や、スーパーマーケットなどの「飲食料品小売」(50.0%、同-4.5pt)が上位となった。

ただし、非正社員の不足感は改善傾向にある。これまで非正社員において人手不足が顕著だった「飲食店」(58.6%)は6割、「旅館・ホテル」(44.0)は5割を下回り、3年連続で改善した。背景には、DXやスポットワークの普及による生産性向上があるとみられる。

「人材派遣・紹介」の人手不足割合(月次推移)

高水準で推移する正社員の人手不足割合、現役世代の高齢化や引退により不足感は今後も続く

2026年1月時点で、人手不足を感じている企業の割合は正社員で52.3%、非正社員では28.8%だった。どちらも前年同月よりわずかながら改善しており、正社員に比べて非正社員に、より改善傾向がみられた。

正社員において1月としては、 4年連続で半数超の企業が人手不足と感じており、依然として高水準だった。業界別では、「建設」や「情報サービス」など7業種で6割を上回った。

非正社員では、「人材派遣・紹介」が2025年7月以来のトップとなったが、唯一6割となった。これまで上位にランクしていた「飲食店」「旅館・ホテル」など改善傾向にある。一方で、「メンテナンス・警備・検査」は高水準で推移しており、正社員・非正社員ともに前年同月から上昇している。企業からは「人材確保が困難な状況が継続し、売り上げに影響している。従業員の高齢化も進み、今後もこのような状況は継続していくものと推察される」(警備、新潟県)といった声が聞かれた。

こうしたなか、「人手不足倒産」は2025年に427件発生し、3年連続で過去最多を更新した。年間として初めて400件を超えており、建設業や物流業、老人福祉事業など労働集約型の業種で人手不足を理由とした倒産が増加。賃上げ機運が高まるなか、小規模企業を中心とした「賃上げ難型」の倒産が懸念される。

建設業を中心に「仕事はあるが、人手が不足して受注できない」という声が多い。「人手不足により売り上げを伸ばせていないが、人手があれば仕事量は十分にあり、増収を目指せる環境を感じている」(一般貨物自動車運送、東京都)という声もあり、人手があれば増収を目指せる企業は少なくないだろう。案件にマッチした人材の不足も聞かれるなか、現役世代の高齢化や引退が進み、今後も正社員の人手不足割合は高水準で推移するとみられる。

「人手不足倒産」推移

260220_人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月).pdf

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