レポート

「老人福祉事業者」の倒産動向(2025年)

「老人福祉事業者」の倒産、2025年は139件 人手不足倒産が急増

株式会社帝国データバンクは「老人福祉事業者」の倒産動向について調査・分析を行った。

SUMMARY

2025年に発生した「老人福祉事業者」の倒産は、前年比0.7%減の139件となった。過去最多となった2024年(140件)をわずかに下回ったが、引き続き高い水準にある。負債総額は143億3500万円となった。件数が高止まりの一方で、負債総額は2024年(195億6300万円)から26.7%減少した。小規模倒産の増加、および大型倒産が発生しなかったことが要因。

集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産


2025年は139件の倒産が発生、件数は高止まりか

2025年に発生した「老人福祉事業者」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、前年比0.7%減の139件となった。2000年以降で最多となった2024年(140件)と同水準にあり、倒産件数は高止まりしている。負債総額は143億3500万円(前年比26.7%減)で、前年の195億6300万円を大きく下回った。

業態別にみると、「通所介護(通称:デイサービス)」が49件で最多。次いで「訪問介護」の43件で続いた。要因としては、同業との競合、電気代や物価高などの運営コストの上昇に加え、人手不足の影響が大きい。近年、初任給の大幅上昇を中心とした賃金引上げが注目されるなか、公定価格である介護報酬を自由に引き上げることができないため、十分な賃金引き上げがかなわず、人員の確保に苦慮する事業者が多数見受けられる。実際に「人手不足倒産」は21件発生し、2024年の14件から50%増加している。

最大の倒産は、2025年11月28日に大阪地裁へ会社更生法の適用を申請した都エンタープライズ(大阪府岸和田市)。当社は、大阪南部エリアを中心に住宅型有料老人ホーム運営事業を中心に、訪問介護や居宅介護支援、デイサービス、福祉用具レンタルといった介護サービスなども手がけていた。しかし、新型コロナ感染拡大の影響に加え、同業との競合激化により施設稼働率は低迷。幹部従業員の退職が相次ぐなか、10月に民事再生を申請していたが、介護報酬の早期現金化に支障をきたし、会社更生に切り替えた。コロナ禍による事業環境悪化に加え、同業との競合、人手不足という業界が抱える課題を全て抱え、倒産に至ったケースである。

今後は、高齢化が進むなか、需要が極端に減ることは考えづらく、各コストの削減も重要だが、介護報酬の臨時改定も予定されるなか、いかに人材の定着と確保を進めるかが最大の課題といえる。事業環境、運営環境の改善には各事業者の努力も必要であるが、低賃金や過剰労働など業界が抱えるイメージの改善、そして政府や地方自治体からの人件費支援がさらに進めば、倒産抑制につながるだろう。

20260217_老人福祉事業者倒産動向調査

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