レポート

東京都・金利上昇による企業への影響調査(2025年12月)

金利上昇の影響、企業の37.9%が「マイナスの方が大きい」

SUMMARY

 金利の上昇が自社の事業に与える影響は、「マイナス影響の方が大きい」が前回調査(2024年4月調査)から5.0ポイント上昇し、37.9%となった。また、「どちらとも言えない(±で相殺)」が30.3%で3.4ポイント低下した。今後も金利の上昇局面でこの傾向が顕著となる可能性が高いが、東京都に本社を置く企業は全国と比較すると影響が相対的には小さいと考えているとみられる。

 業界別にみると、「マイナス影響の方が大きい」では、『不動産』が前回比6.2ポイント増の47.9%でトップとなった。『運輸・倉庫』(46.8%、前回比18.9ポイント増)の上昇幅は、全国平均(50.5%、同12.0%増)以上に大きく、全業界でトップとなった。

※ 株式会社帝国データバンクは、東京都に本社を置く3,904社を対象に、「金利上昇による企業への影響」に関するアンケート調査を実施した

  調査期間:2025年12月16日~2026年1月5日(インターネット調査)

  調査対象:東京都に本社を置く3,904社、有効回答企業数は1,916社(回答率49.1%)

金利上昇で「マイナス」影響大も、3割の企業が「±で相殺」

 日本銀行の政策金利の引き上げに連動して、長期プライムレートは2025年1月10日の2.00%から2026年1月9日現在で2.75%となり、1年間で0.75%上昇した。そうしたなか、東京都に本社を置く企業に対して、金利の上昇が自社の事業にどのような影響があるか尋ねたところ、「マイナス影響の方が大きい」と回答した企業が37.9%となった。前回調査(2024年4月調査)から5.0ポイント上昇したものの、全国平均は44.3%(前回比6.6ポイント上昇)、他の大都市も40%台まで高まるなか、依然30%台にとどまった。

 次いで、「どちらとも言えない(プラスとマイナス両方で相殺)」が3.4ポイント低下し、30.3%となった。全国平均は26.9%(同6.3ポイント低下)となり、前回調査で30%台だった他の大都市が今回は20%台後半へ5~10ポイント弱低下するなか、唯一の30%台となった。「影響はない」(15.8%)も合わせると、46.1%の企業が相対的な影響は大きくないと考えている。金利の上昇が進むにつれ、マイナス影響を感じる企業が増加してはいるものの、他地域より影響が限定的という結果となった。

 業界別にみると、「マイナス影響の方が大きい」では、『不動産』が前回比6.2ポイント増の47.9%でトップとなった。住宅ローン金利の上昇や投資用不動産の利回り悪化により需要の減退が懸念されるほか、市況の冷え込みによる不動産価格の下落圧力が生じる可能性もある。『運輸・倉庫』(46.8%、前回比18.9ポイント増)の上昇幅は、全国平均(50.5%、同12.0%増)以上に大きく、全業界でトップとなった。運輸業では、車両などの設備投資が多額であることに加え、ドライバー不足へ対応するための人件費や採用コスト、燃料費などの運転資金が必要であることから借入額が膨らみ、金利の上昇で利益が圧迫されやすいためと考えられる。 

 企業からは、「借入額が大きいため支払い金利が多くなり、利益を圧迫する」(不動産)、「単純に支払利息の増加というマイナス要因でしかないため、金利へのヘッジ対策の検討とともに、定期預金への預け入れや運用などを検討する必要性を感じている」(化学品製造)など、利益の圧迫による財務状況の悪化を懸念し、対策を講じる必要性を感じる声が多く聞かれた。

  一方で、「金利が上がりお金が回れば、売り上げ・利益の増加、設備投資につながり、物価も緩やかに上昇しながら、力強い賃金上昇につながっていく好循環に転じると期待したい」(建設)、「日米の金利差が是正されれば、円が上がり原油や輸入品の価格が下がることが期待される」(機械・器具卸売)など、過度な円安の是正を期待する声も多く寄せられた。

 本調査の結果、「マイナス影響の方が大きい」企業の割合が上昇し、「どちらとも言えない(プラスとマイナス両方で相殺)」企業の割合がやや低下する形となったものの、いずれも全国平均に比べると変化幅は小さく、他の大都市に比べて影響が相殺されやすい傾向にあった。

 全国と同様に、『不動産』がマイナスの影響を最も受ける結果となったものの、「インフレによる不動産価格の高騰で相殺できる」といった声もあがった。東京都は不動産・地価が上昇しており、当面の需要は堅調であるとみられることから、金利が上昇しても他地域に比べて影響が相殺されやすいと考えられる。

 また、東京都はIT・通信サービス企業などの集積地であり、これらの業種は多額な設備投資を必要としないことが多いため借入金への依存度が低い。「借入金がないので、直接的な影響はない」(情報サービス)など、無借金経営が金利上昇に伴うマイナスの影響を最小限にとどめているといった声が多く聞かれた。

 「全国平均借入金利動向調査(2024年度)」(2025年12月17日発表)によると、2024年度の東京都の平均借入金利は1.26%(前年度比0.27ポイント増)と全国平均(1.20%)より高く、上昇幅も高水準にある。にもかかわらず他地域に比べて影響が限定的である理由は、東京都の企業が金利上昇による負担を吸収できるだけの規模や高い収益性を有する企業・業種が多いことが挙げられる。また、東京都はメガバンクだけでなく地銀、信金、政府系など金融機関の選択肢が多く、より有利な融資への借り換えがしやすいことも要因の一つとみられる。

(参考) 都道府県別の平均借入金利(2024年度、低金利準)

出所:「全国平均借入金利動向調査(2024年度)」(2025年12月17日発表)

 金融政策の正常化を図るなかで今後も金利の上昇が継続することが見込まれ、借入金の多い中小企業にとっては、支払利息の増加で利益が圧迫され、経営環境は厳しさを増すことが懸念される。一方で、過度な円安が是正されれば仕入れコストの下落や個人消費の活発化につながるため、ある程度の金利上昇がカンフル剤の役割を果たす可能性もある。企業には、借り入れ方法の見直しのほか、価格転嫁やコスト削減など返済原資の確保を行うための対策を検討・実施することが求められる。

20260212_東京都・金利上昇による企業への影響調査(2025年12月)

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