レポート

「物価高」倒産動向調査(2025年)

物価高倒産949件判明 5年連続で過去最多を更新

SUMMARY

2025年の物価高倒産は949件判明し、5年連続で過去最多を更新した。業種別にみると、「建設業」が240件(前年250件)で最多、要因別にみると、「原材料」が43.3%でトップとなったほか、「人件費」が24.8%で続いた。原材料価格の高止まりや最低賃金の上昇に伴う人件費の増加のコスト上昇分を価格に転嫁することが困難な中小企業を中心に、物価高倒産は引き続き高水準で推移することが見込まれる。

株式会社帝国データバンクは、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格の上昇」、取引先からの値下げ圧力等で価格転嫁できなかった「値上げ難」などのほか、人件費の増加で収益が維持できずに倒産した企業について調査・分析を行った。
集計期間:2018年1月1日~2025年12月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産

2025年は949件判明、5年連続で過去最多を更新

燃料や原材料などの「仕入価格の上昇」などにより収益が維持できず倒産した「物価高」倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、2025年に949件判明し、5年連続で過去最多を更新した。単月ではこれまで最多だった2024年3月の106件を超える月はなかったものの、高水準で推移し、昨年(933件)に続いて2年連続で900件を超えた。

業種別にみると、「建設業」が240件(前年250件)で最多となり、「小売業」が216件(同150件)、「製造業」が174件(同194件)で続いた。業種を細かくみると、「小売業」では「飲食店」(121件)と「飲食料品小売」(60件)で全体の8割を占めた。「製造業」では「食料品・飼料・飲料製造」(50件)が最多となるなど、原材料の高騰を要因とする飲食関連での倒産が目立った。一例をあげると、居酒屋の運営を手がけていたフーディアム・インターナショナル(11月破産)は、コロナ禍の収束で集客に持ち直しが見られたが、食材価格や水道光熱費の上昇、さらに最低賃金引き上げなどによる人件費上昇により、採算改善のメドが立たなかったことで事業継続を断念した。

要因別にみると、「原材料」が43.3%でトップとなったほか、「人件費」が24.8%、燃料など「エネルギー」が24.2%で続いた。特に、「人件費」は3年連続で増加し、初めて2割を超えるなど、人手不足を背景とした人件費の増加が中小企業の経営を圧迫し、倒産に至るケースが発生している。

帝国データバンクが2025年8月28日に発表した『価格転嫁に関する実態調査(2025年7月)』によれば、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は39.4%と2年半ぶりに4割を下回っており、企業の価格転嫁は鈍化している。こうしたなか、2026年1月1日にサプライチェーン全体で適切な価格転嫁の定着を目的に「中小受託取引適正化法(取適法)」が施行され、中小企業の資金繰り改善が期待される。一方で、原材料価格の高止まりや最低賃金の上昇に伴う人件費の増加などのコスト上昇分を価格に転嫁することが困難な中小企業を中心に、物価高倒産は引き続き高水準で推移することが見込まれる。

20260114_「物価高」倒産動向調査(2025年)

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