レポート

「カレーライス物価指数」調査―2025年10月分

2025年10月のカレー物価、1食451円に急伸 過去10年で最高値更新

2025/12/10

株式会社帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。           

SUMMARY

2025年10月のカレーライス物価は1食451円(前年同月371円)となった。

コメ、野菜類の価格上昇を背景に前月からは+13円と2カ月連続で上昇(値上がり)した。

今後のカレーライス物価は、今秋まで続いた430円台の推移から一転し、今冬にかけて過去最高値の水準で推移することが予想される。                               

[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数

各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした

カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移

(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100

【原材料】ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:約1合[炊飯前重量])、カレールー(市販)、食用油【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)


2025年10月のカレーライス物価:

 1食あたり451円 / 前月から急伸、「第二次カレーショック」 

カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」は、2025年10月時点で1食あたり451円となった。1年前の2024年10月(371円)からは+80円・21.6%増と、16カ月連続で前年同月比2ケタを超える大幅な上昇が続いた。また、前月(438円)からは+13円と急伸し、2カ月連続で前月から増加し、過去10年で最高値を更新した。カレーライス物価は再び大幅な上昇へと転じ、今夏に続く「第二次カレーショック」の兆しがみられる。

カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、217円(前年同月201円、+16円)となり、前月(213円)から4円上昇した。タマネギのほか、メークインなどジャガイモでも夏場の高温・少雨による影響で不作傾向が強まり、大幅に値上がりしたことが影響した。輸入牛肉でも、米国産の値上がりに加え円安の影響も背景に価格が上昇した。「ごはん(ライス)」価格は、野菜類同様に価格安定の局面から大幅な上昇傾向へと転じており、前年同月(142円)から+61円・43.0%増の203円と大幅に上昇した。「ごはん」価格が200円を超えたのは、比較可能な2015年以降で初めてで、「コメ不足」が深刻化した今夏を上回る高値となった。「カレールー」(28円)は、市販ルーや食用油の値上げが店頭価格に波及し、前月から1円、前年同月からは3円昇した。なお、炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)は変動がなかった。

カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2025年10月の指数は164.7となった。指数ベースで160台が2カ月連続となったのは、2025年5月-6月以来、4カ月ぶり。前年同月比では21.5%高く、29カ月連続のプラスとなったほか、伸び率は5カ月ぶりに拡大した。


今後の見通し:2025年11月=1食460円台前後で推移 

コメ価格の急伸響く 今冬は「最高値」更新が続く見込み

全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した2025年11月のカレーライス物価は最高で1食460円台に到達するとみられ、比較可能な2015年以降のデータで今年10月を上回る最高値を更新する見通し。カレー物価の上昇を抑制してきたコメ価格は店頭価格で精米5キログラムあたり5000円を超える高値が続いており、ごはん(ライス)価格がカレー物価を大幅に押し上げる要因となっている。コメ価格の高騰で「コメ離れ」の兆しもあり、コメ価格が急落する見方がある一方、大幅な高値で集荷した民間のコメ在庫も多く、ごはん(ライス)の大幅な値下がりは短期的には期待しにくい局面が続く。また、カレー商材の野菜3種(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)も、引き続き高温少雨や日照不足の影響を受けて高値圏で推移する見通しとなっている。集計対象外ではあるものの、コシヒカリに比べて割安だった他の銘柄米(単一原料)でも価格が急騰し、コシヒカリ価格とそん色ない水準で推移していることから、今冬は食卓における物価高がより強く反映されるとみられる。

 

今後のカレーライス物価は、今秋まで続いた430円台の推移から一転し、最高値を更新する局面が続く「第二次カレーショック」が本格化すると予想される。

20251210_全国カレーライス物価調査

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