レポート

全国「女性社長」分析調査(2025年)

女性社長比率は8.6% 過去最高を更新するも、依然として1割に届かず ~県別、4年連続で「徳島県」がトップの12.3%~

SUMMARY

2025年10月時点で、国内企業の女性社長割合は5年連続過去最高の8.6%となったが、依然として1割に届かなかった。業種別では「不動産」が17.4%でトップ。一方で、「建設」は4.9%となり、全業種のなかで唯一5%を下回った。都道府県別では「徳島県」が 12.3%で最も高く、四国地方では3県が10%を上回る。引き続き女性社長割合は緩やかに上昇すると見込まれるが、今後も女性起業家の育成・支援が求められる。

帝国データバンクは自社データベースをもとに、全国約120万社の事業会社を対象に女性が社長(代表)を務める企業について分析を行った。
同調査の公表は2024年10月に続き今回で12回目だが、統計としては遡れる1990年から分析対象に含めている。
集計対象は「株式会社」「有限会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」。

国内企業の女性社長比率は8.6%、5年連続で上昇

帝国データバンクでは、国内企業の女性社長比率について調査を実施した。2025年10月時点で8.6%となり、前年を0.2pt上回った。5年連続で上昇し、過去最高を更新した。統計として遡れる1990年(4.5%)から上昇を続けているものの、依然として1ケタ台にとどまっている。

女性社長比率(1990-2025年)

「不動産」が17.4%でトップ、「建設」「製造」は依然として低水準

業種別に女性社長の比率をみると、「不動産」が17.4%でトップだった。続く「サービス」(11.9%)や「小売」(11.1%)といった「BtoC」業種で女性社長比率が高かった。

その他の7業種は全体(8.6%)を下回った。なかでも「建設」は横ばいの4.9%で、全業種のなかで唯一5%を下回った。次いで「製造」が5.8%で、27年連続で2番目に低かった。

女性社長比率 業種大分類別

業種細分類別でみると、「保育所」が39.6%で前年から0.4pt低下したものの、最も高かった。次いで「化粧品販売」(37.1%)、「美容業」(33.3%)といった美容関連業種や、「老人福祉事業」(33.0%)、「身体障害者福祉事業」(27.2%)、「知的障害者福祉事業」(24.7%)といった社会福祉関連が続いた。

一方、業種細分類別で低い業種をみると、「金属製建具工事業」(2.7%)を筆頭に、10業種中9業種が建設業だった。その他1業種は、製造業の「金型・同部分品・付属品製造業」(3.2%)だった。

女性社長比率 業種細分類別(上位10業種)

女性社長は「60~64歳」が14.0%で最多

女性社長を年齢構成比でみると、「60~64歳」 が14.0%で最も高かった。また、「70~74歳」は11.5%で前年(12.1%)から低下した一方で、「75~79歳」は11.9%で前年(11.4%)から上昇した。現在は1947年から1950年生まれの「団塊の世代」が75歳以上へ移行する期間であることが影響していると考えられる。「75歳以上」でみると、22.2%となり、2020年時点(18.4%)から3.8pt上昇し、毎年上昇傾向にある。なお、男性も含めた全体では、最も割合が高いのは「55~59歳」(15.1%)だった。

女性社長の年齢構成比 経年変化

「徳島県」が12.3%で、4年連続のトップ

都道府県別では「徳島県」が12.3%で最も高かった。前年から0.2pt上昇し4年連続のトップとなった。徳島県を中心に、四国地方では3県が10%を上回っており、全国的にも女性社長割合の高さが目立っている。西日本エリアは全体的に高水準で、九州地方では「沖縄県」(11.8%)や「佐賀県」(11.1%)などが高かった。また、「青森県」は11.2%と全国3位となり、東北エリアのなかで唯一10%を超えた。

一方で、16年連続で最も低かった「岐阜県」(6.6%)や、「愛知県」(6.6%)を中心に、下位5県は製造業の割合が高い中部・北陸エリアが並んだ。

女性社長比率 都道府県別

出身大学は「日本大学」が6年連続でトップ

女性社長の出身大学別では、「日本大学」が前年比10社減で7年ぶりに減少したものの、276社でトップだった。2020年に当時最多だった「慶應義塾大学」を上回り、以降、6年連続でトップとなった。次いで「慶應義塾大学」(275社、前年比9社増)がトップに迫っており、「早稲田大学」(249社、同10社増)も含め上位3大学が200社を超えた。その他、「青山学院大学」(182社、同1社増)や「同志社大学」(155社、同7社増)など9校が100社台で続いた。また、女子大学としては「日本女子大学」(128社、同7社減)がトップとなったものの、9年連続で減少する結果となった。

今回調査時点で女性社長が20社以上となった大学で、前年から最も増加したのは「愛知淑徳大学」で、前年比30.0%増となった。その他、「富山大学」(22社、同29.4%増)や「香川大学」(21社、同23.5%増)など、上位20校のうち6校が国公立だった。

女性社長社数 出身大学別

前年比増加率上位 出身大学別

まとめ

2025年の女性社長比率は8.6%だった。5年連続の上昇で過去最高を更新したものの、依然として1割を下回る低水準にとどまっている。

改正女性活躍推進法の施行を2026年4月に控えるなか、政府は2025年6月10日に、女性活躍と男女共同参画社会の実現に向けた道筋を示す「女性版骨太方針2025」を決定し、女性が地方でも活躍できる環境の整備を重点課題とした。企業や行政、学術、国際的な分野といった、あらゆる分野の意思決定層における女性の参画拡大を推進する。また、暴力防止や健康支援による安心社会の実現も含め、男女共同参画機構設立や災害対応への女性参画を進めて施策の加速化を図る。

なお、帝国データバンクが2025年8月に発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」では、女性管理職の平均割合は前年から0.2pt上昇し、11.1%となり、過去最高となった。しかし、小幅の上昇にとどまっており、「役員が全員男性」の企業は依然として半数を超えている。

2024年10月1日に施行された「代表取締役等住所非表示措置」は、女性の役員登用の促進につながり、起業を後押しするきっかけとして期待される声があるなど、様々な制度の整備・拡充もあり、引き続き女性社長や役員・管理職の割合は緩やかな上昇が見込まれる。女性社長比率が1割を上回る状態になるためには、ライフイベントやキャリア、業種に合わせた女性起業家の育成・支援が求められている。

<参考> 女性管理職の平均割合

20251126_全国「女性社長」分析調査(2025年)

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