レポート事業継続力強化計画認定事業者(2025年度)の分析【企業リスト掲載】

地震や台風、集中豪雨など、日本では自然災害が激甚化している。2024年1月には能登半島地震が発生し、今後30年以内には南海トラフ地震の発生も懸念されている。こうした突発的な災害は、企業に業務停止や資金繰り悪化といった経営破たんのリスクをもたらす。そのため、日本企業にとってBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定は極めて重要である。

BCPは、地震や台風、感染症などの突発事態が発生しても「重要業務を中断させない、あるいは中断しても最短で復旧させる」ための行動計画を体系化したものを指す。策定にあたっては、まず発生し得るリスクの確率と影響度を評価し、売上高や社会的責任、法令遵守の観点から優先度の高い業務を特定する。そのうえで、目標復旧時間(RTO)や目標復旧時点(RPO)を設定し、代替拠点の確保、クラウド移行、在宅勤務体制、資金調達枠の準備などの具体策を組み込む。BCPは策定して終わりではなく、年1回以上の訓練や検証を通じ、環境変化や新たなリスクに応じて継続的に改善するPDCAサイクルを回すことが不可欠である。

こうした背景を踏まえ、2019年には中小企業が策定した防災・減災計画を国が認定する「事業継続力強化計画認定制度」が創設された。本制度は「中小企業等経営強化法」に基づき、経済産業大臣が自然災害や感染症拡大などに備える計画を認定する仕組みで、2020年10月からは感染症やサイバーリスク対策も対象に加わっている。制度開始以降、認定企業数は着実に増加しており、2025年6月時点で累計83,099件が交付されている。

この記事では、中小企業庁が公表している「事業継続力強化計画」認定事業者(2025年6月19日時点)3,659社のうち、2021年度から2024年度に認定事業者として登録されていない企業で、帝国データバンクが保有する企業データベース「COSMOS2」(約149万社)にて確認できた1,214社について分析を行っている。所在地・業種・規模・損益・業歴別の特徴や傾向を解説する。また、最新期が増収増益となっている企業190社のリストも掲載している。

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