レポート「カレーライス物価指数」調査―2025年5月分

2025年5月のカレー物価 1食441円  最高値を更新 6月は15カ月ぶりに前月から「値下がり」予想

2025/07/10
物価・価格

株式会社帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。           

SUMMARY

2025年5月のカレーライス物価は1食441円(前年同月323円)となった。

前年から118円上昇し、過去10年で最高値となった。

最新の物価動向に基づく2025年6月の予測では1食438円と、15カ月ぶりに前月から「値下がり」に転じる可能性が出ている。                         

[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数

各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした

カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移

(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100

【原材料】ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:約1合[炊飯前重量])、カレールー(市販)、食用油【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)


2025年5月のカレーライス物価: 1食あたり441円 / 前年からの増加額は過去10年で最大 

カレーライスを家庭で調理する際に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出し、食卓に与える物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」は、2025年5月時点で1食あたり441円となり、14カ月連続で最高値を更新した。前月(429円)から+12円、1年前の2024年5月(323円)からは+118円・36.5%増と3割を超える大幅な上昇となり、24カ月連続で前年を上回ったほか、前年からの増加額は過去10年で最大となった。ニンジンやタマネギの価格は前月から一転して落ち着いたものの、コメ価格の高騰で「ごはん(ライス)」の食材コスト増による影響が大きかったほか、カレールーなども値上がりし、カレーライス物価は引き続き上昇基調で推移した。

 カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、219円(前年同月200円、+19円)だった。前月から4円上昇し、過去10年で最高値を更新した。ジャガイモの価格が大幅に上昇したほか、輸入牛肉の価格が高止まりした。「ごはん(ライス)」価格は、足元でコメの店頭価格が高止まりしていることを背景に、前年同月(94円)からは+98円・約2倍の192円と大幅に上昇し、過去最高値を更新した。「カレールー」(26円)は、市販ルーが値上げされたことが要因で、2023年7月以来22カ月ぶりに上昇した。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)は変動がなかった。

 

カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2025年5月の指数は160.9となった。指数ベースで160台を記録したのは過去10年で初めて。カレーライス物価は5年間で6割を超える値上がりとなったほか、10年前(2015年5月:260円)からは約7割値上がりし、食卓で物価高の勢いが加速した。同指数の前年同月比では36.5%高く、24カ月連続のプラスとなったほか、2015年以降で最大の上昇幅を記録した。

今後の見通し:2025年6月=1食438円の予想 

 備蓄米使用で最大3割安、高値のピーク超える見通し 

 全国の物価の先行指標となる東京都区部の物価動向を基に予想した2025年6月のカレーライス物価は、1食438円に低下する可能性がある。主な上昇要因となるコメ価格が、備蓄米の放出を背景に銘柄米で上昇ペースが鈍化した一方、カレーライス物価を構成する野菜類(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)の価格が4月から一転して大幅に低下する見通しで、カレーライス物価全体としては1年3ヵ月ぶりに前月から値下がりするとみられる。

また、農林水産省などの発表に基づいた6月のカレーライス物価は、政府備蓄米を含む複数原料米等の使用によって383円、随意契約備蓄米の使用で328円まで低下する予想となり、当初予想値から最大3割の値下がり効果をもたらす可能性がある。1食当たり328円は、コメの価格高騰によって急激な上昇が始まる前の2024年6月(329円)の水準となり、食卓における家計負担の大幅な緩和が見込まれる。ただ、足元では猛暑の影響による各種野菜の生育不良も予想され、1食あたり200円台で推移した2023年の水準まで低下する可能性は低いとみられる。

 

カレーライス物価は、近年例を見ない価格上昇圧力を反映し、例年に比べて記録的な高値圏での推移が続いたものの、高騰ペースはピークアウトしたとみられる。2025年産米の動向、各種野菜類の生育状況にも左右されるものの、年末にかけて緩やかな値下げ傾向が見込まれる。

20250710_全国カレーライス物価調査2025年5月

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