レポート栃木県内企業の価格転嫁に関する実態調査(2025年2月)

県内の価格転嫁率40.6%、下請の負担大 ~ 「エネルギーコスト」、「人件費」の転嫁が課題~

2025/03/31
物価・価格  アンケート

3月5日に弊社が発表した「TDB景気動向調査(栃木県)2025年2月調査」によれば、景気DIは43.3と短いスパンで改善と悪化を繰り返しており、トレンドとして業績の回復は見えてこない。一方で、栃木県の企業倒産や休廃業解散は過去最高件数(2024年)を更新するなど、中小企業の経営環境は厳しさを増している。要因は原材料価格や人件費などコストの上昇に収支バランスが追いつかず、対応できていないことが大きい。そしてその最大のファクターは「価格転嫁」であることは言うまでもない。国は「適正な価格での取引を推奨」しているものの、取引の末端まで徹底されているかとなると心許ない。

なかには、システム的に下請価格が上がらないようにコントロールしている元請業者も少なくないと聞く。国の施策を含めて、今後どのように適正価格を実現していくのか、取引の性質上弱い立場の下請や川下の企業をどう支援していくのか、興味は尽きないところだ。

そこで帝国データバンク宇都宮支店は、県内企業の価格転嫁の実態について調査を実施し、見解をまとめた。価格転嫁に関するレポートは2024年7月に次いで6回目である。

※  調査期間は2025年2月14日~28日、調査対象は栃木県内企業411社で、有効回答企業数は149社(回答率36.3%)。

調査結果(要旨)

  1. 83.2%の企業で多少なりとも価格転嫁できている。価格転嫁率は40.6%と後退。自社の主な商品・サービスにおける、コスト上昇分の販売価格・サービス料金への転嫁について、『多少なりとも価格転嫁できている』栃木県内企業は83.2%で価格転嫁率は40.6%であった。2024年7月調査時の46.7%と比較すると、6.1ポイント下落している。「すべて転嫁できている」企業は2.0%にとどまり、「8割以上」18.8%、「5割以上8割未満」14.8%と、やや後退感が窺える。「全く価格転嫁できない」は10.7%と横ばい。また項目別に見ると、「原材料費」については48.6%と比較的高いものの、「エネルギーコスト」29.7%、「人件費」31.5%など、販管費にあたるコストの価格転嫁は大きな課題のようだ
  2. 『卸売』『小売』で価格転嫁が進むも、『運輸・倉庫』『サービス』では低水準。主要6業種の価格転嫁の状況をみると、価格転嫁率が高いのは『卸売』(49.8%)や『小売』(47.7%)。他方で、『サービス』(26.6%)、『運輸・倉庫』(36.0%)などでは低水準である。業態や品目、サービスの内容によって、格差はかなり大きい

詳細は以下のPDFをご覧ください

20250331_栃木県内企業の価格転嫁に関する実態調査(2025年2月)

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