レポート賃金動向に関する栃木県内企業の意識調査(2025年度)

賃金改善企業62.7%、高水準維持~総人件費は4.23%増加、コストアップは懸念材料~

2025/03/07
雇用・人材  アンケート

2025年度の春闘に注目が集まっている。大手企業では、新入社員の初任給30万円超が続々誕生しており、それに伴って従業員給料もアップが想定される。連合の活動方針も、大企業では5%以上、賃金相場の低い中小企業は格差是正を目指して6%を目標に掲げた。政府の意向もあり、財界トップも理解を示し協力体制を打ち出している。問題は中小零細企業である。物価高に伴う原価高騰に対して、価格転嫁が思うように進まず、業績不振の企業は一定数存在する。更に業界によっては2024年問題など多くの課題を抱え、上場企業のようにはいかないことは明らかだ。見合うだけの業績があって初めてコストアップに対応できるわけで、どこまで賃上げの波に追随できるかは極めて不透明であると言えよう。格差が広がる事態は決して望まれるものではなく、この動向は大いに興味深い。

そこで、帝国データバンク宇都宮支店では、2025年度の賃金動向に関する栃木県内企業の意識について、実態を調査した。

※調査期間は2025年1月20日~1月31日、調査対象は栃木県内企業402社で、有効回答企業数は142社(回答率35.3%)。なお、栃木県内企業における賃金動向調査は、2024年1月に続いて今回が10回目となる。

調査結果(要旨)

  1. 2025年度に賃金改善が「ある」と見込む企業は62.7%であった。2024年度の64.0%と比較すると1.3pt減少したものの、極めて高い水準となった。賃金改善が「ない」企業は11.3%(前年度比0.5pt減)となった。賃金改善の具体的な内容では、「ベースアップ」が56.3%と最高値に匹敵、「賞与(一時金)」は32.4%とこちらも2年連続で上昇した
  2. 賃金改善の企業の割合を業界別で見ると、「製造」、「小売」、「運輸・倉庫」の3業界で66.7%と最多、以下、「建設」63.6%、「卸売」61.5%、「サービス」61.1%と続いた。大きな格差はなく主要業界ではすべて6割台であった
  3. 賃金改善が「ある」企業の理由を尋ねると、「労働力の定着・確保」が77.5%でトップ、以下「従業員の生活を支えるため」が66.3%、「物価動向」が50.6%で続き、賃金改善の原動力となっている。一方で「ない」理由としては、「自社の業績低迷」が56.3%で最多、「物価動向」31.3%で続いた
  4. 2025年度の自社の総人件費の見通しは、県内企業の82.4%が「増加」すると見込んでおり、前年度を3.0pt上回った。「変わらない」は7.0%、「減少」するは3.5%と少数意見にとどまった。なお、総人件費の増加率は前年度比で平均4.23%増加すると見込まれている

詳細は以下PDFをご覧ください

20250307_賃金動向に関する栃木県内企業の意識調査(2025年度)

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