2024年の栃木県における企業倒産は、170件と過去最多を更新した。ゼロゼロ融資の返済がトリガーとなり、物価高に伴う諸コストの上昇を背景に、特に中小零細企業の経営環境は著しく悪化し、返済原資が準備できずに“あきらめ型”の倒産が目立った。今後も構造的なコストの高止まりは続くことが予想され、価格転嫁も好転しないままに、春にはまた賃上げの波が押し寄せる。県内企業は荒波に翻弄され続けることになるだろう。毎年集計している「企業の消滅」(休廃業・解散)にスポットを当てたレポートだが、倒産件数の急伸を踏まえて、この1年でどのような変化となったのか、非常に興味深いところだ。
帝国データバンク宇都宮支店では、2024年の「休廃業・解散」の実態を確認することで、栃木県経済の担い手である県内企業にどのような変化があったか分析を行った。なお、本調査は2024年1月に続いて13回目。
◇「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(「みなし解散」は除く)を確認した企業の総称である。調査時点で休廃業・解散状態を確認したもので、将来的な企業活動の再開を否定するものではない。また、休廃業・解散後に法的整理へ移行した場合は、倒産件数として再集計することもある。
調査結果(要旨)
- 栃木県内企業における2024年の「休廃業・解散」企業(個人事業主も含む)は1,000社、法的整理を行った「倒産」企業170社を含めると、1年間で1,170社の企業が消滅したことになる。休廃業・解散率は4.66%、1日当たり約3.2社の企業が消滅している。また、「休廃業・解散」した企業の55.0%が「黒字」企業で、事業環境の悪化による「あきらめ型」が目立つ。
- 休廃業・解散した企業を業種別で見ると、「建設業」が142社で最多、以下「サービス業」87社、「小売業」65社、「製造業」46社と続いた。また、代表者年代別の占有率では、「70代」が43.8%で最多、以下「60代」23.0%、「80代以上」20.8%と続いた。
- 市郡別での状況は、「宇都宮市」が最多の262件、以下「足利市」109件、「栃木市」92件、「小山市」80件、「佐野市」60社と続いた。休廃業・解散率では、「塩谷郡」が8.26%で最も高く、次いで「足利市」が6.23%、「下都賀郡」6.04%などが高水準であった。
詳細はPDFを参照ください
20250207_栃木県内企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)

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