レポート全国平均借入金利動向調査(2023年度)

平均借入金利1.04%、2年連続上昇 ~3年ぶり1%超えも低利続く~

2024/12/20
マーケット  資金繰り

2023年4月に総裁が交代した日本銀行は、同年7月と10月の2度にわたって長期金利の上限を引き上げた。2024年に入り3月にマイナス金利政策が解除となり、異次元緩和は終了した。この間、長期金利は上昇したが、実際の借入金利はどうだろうか。

帝国データバンクでは、企業単独財務ファイル「COSMOS1」(100万社・810万期)を用いて、2006年度~2023年度の国内企業の平均借入金利を算出し、集計・分析した。

■「企業単独財務ファイルCOSMOS1」収録のうち、非営利・特殊法人等を除く国内企業の2006~2023年度の財務データを集計
■平均借入金利は、有利子負債(銀行等、保険、ノンバンク、個人借入等を含む借入金、社債、CP等を含む総額)に対する支払利息の割合
■本レポートでは、平均値にトリム平均を用いている。全体の最大値および最小値から合計10%分のデータを除き、平均を算出した

2年連続で平均借入金利上昇も、1%の低水準

2023年度の企業の平均借入金利は1.04%となった。前年度から0.06ポイント上昇し、上昇は2年連続。2007年度(2.33%)をピークに2021年度まで14年連続で低下した。2020年度には新型コロナに伴う実質無利子・無担保の融資(コロナ融資)拡大で0.26ポイントの大きな下げ幅となったが、2023年度は一般の融資における金利の上昇やコロナ融資の借り換えなどによる影響が表れた。

都道府県別にみると、最も平均借入金利が低かったのは「奈良県」の0.71%。以下、「香川県」(0.74%)、「富山県」(0.81%)と続く。前年度(2022年度)と比較すると、43都道府県で平均借入金利は上昇した。都道府県間の金利差の要因の一つとみられるのが、コロナ融資の利子補給制度の違い。民間金融機関によるコロナ融資は、融資実行段階から無利子となる「リアルタイム方式」と、事業者がいったん利子額を支払った後に自治体から利子額が支給される「キャッシュバック方式」があり、「奈良県」「香川県」「富山県」はいずれも無利子のリアルタイム方式だ。

今後の見通し

2023年度の企業の平均借入金利は2年連続の上昇となった。ただし、前年度からの上昇幅は0.06ポイントにとどまり、マイナス金利政策や従来の貸出競争を背景に、依然として企業への貸出金利は低く抑えられていたことが分かった。都道府県別では、新型コロナ関連融資の利子補給制度の方式の違いによる影響がみられた。2024年はマイナス金利政策の解除、7月には追加利上げも実施され、「金利のある世界」に戻った。さらなる追加利上げ観測もあるなかで、「東京圏では金利の引き上げが受け入れられている」とする金融機関もあることから、異次元緩和の終了が反映される2024年度も平均借入金利がさらに上昇するものと見込まれる。

20241220_全国平均借入金利動向調査(2023年度).pdf

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