レポート 後継者不在に関する栃木県内企業の実態調査(2024年)

後継者不在55.1%、最低値を更新 ~「内部昇格」が主流化、「M&A」もポピュラーに~

2024/12/13
社長・後継者  倒産・休廃業

中小企業を取り巻く環境が深刻な状況にあることは否めない。物価高に伴う原価の高騰、人件費の急伸が招くコスト高、価格転嫁が進まない受注環境、ゼロゼロ融資返済に伴う倒産・廃業の大幅な増加など、多くの課題が山積している。日本経済をシュリンクさせないための重要なファクターは、中小企業がいかに存続し機能するかにかかっていると言っても過言ではない。

キーワードは「後継者」である。新たな時代を担う経営者の元で事業承継を進め、ビジネスモデルの再構築や、DX戦略、さらには産業構造の改革などを推進していく必要がある。そのための必須条件である事業承継の実態がどうなっているのか、非常に興味深いところであろう。

そこで帝国データバンク宇都宮支店では、「後継者不在」の現状を明らかにするため、弊社データベースを駆使して分析を試みた。

※信用調査報告書ファイル(約200万社収録)をもとに、主に2022年10月~2024年10月の変化にスポットを当てて、事業承継の実態について分析可能な栃木県内企業3440社(全業種)の後継者の決定状況と事業承継動向について調査を行った。栃木県内企業に関する調査は2023年12月に続き9回目である。

調査結果(要旨)

  1. 栃木県内企業で分析可能な3440社について、後継者の有無について調査したところ、「後継者不在」は1896社(構成比55.1%)、「後継者あり」は1544社(同44.9%)であった
  2. 県内企業の後継者不在状況について、事業承継適齢期と言える「70代」は28.6%、「80代以上」は26.1%であり、低下は確認できるが、4社に1社内外と高水準である。一方、業種別では「建設業」が62.7%で最も高く、以下、「サービス業」62.6%、「小売業」62.1%などで不在率が高く、「不動産業」42.1%、「製造業」43.0%などでは低い
  3. 2024年に事業承継が確認できた県内企業(途中経過)のなかで、最も高い属性は「同族承継」で44.8%と根強いものの、構成比は2020年比で11.3ポイントも減少しており、脱・ファミリー化が進んでいるようだ。これに対し「内部昇格」は32.2%、「M&Aほか」10.4%、「外部招聘」8.0%などとなっており、特に「内部昇格」は2020年比で11.6ポイントも増加していた
  4. 事業承継候補が決まっている企業の属性を見ると、「子ども」が45.1%で最多、次いで「非同族」が30.4%と続いた。栃木県の後継者は、「同族」が根強いものの、非同族(内部昇格や外部招聘)がポピュラーになりつつある

詳細は、以下のPDFをご覧ください

20241213_後継者不在に関する栃木県内企業の実態調査(2024年)

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