地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫が2023年に実施した調査では、60歳以上の代表者のうち60%超が将来的な廃業を考えているとしている。
ここ数年、これまでの同族承継中心から非同族承継へ少しずつ転換が進んでいる。足元では後継者問題が改善に向かっているとも受け取れるが、事業承継中に発生した想定外の事態などで円滑に進まない事例もみられ、後継者「決定後」のサポートも欠かせない。
こうしたなか、帝国データバンク大阪支社は企業の「後継者不在」(=後継者が「いない」または「未定」)の状況について調査を実施。このほどまとまった2024年の調査によると、近畿企業の「後継者不在率」は前年から1.3ポイント低下の46.9%と、調査開始以来最も低くなったことが分かった。依然として府県別にはバラつきがみられるものの、事業承継税制の浸透に加え、公的相談窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」の設置、M&A(買収・合併)を含めた非同族承継の推進などが背景にあるとみられる。
本調査は、信用調査報告書ファイル「CCR」(約200万社収録)などの自社データベースをもとに、2022年10月~2024年10月までの期間を対象として、事業承継の実態について分析可能な近畿2府4県(以下、近畿)に本社を置く約4万8200 社(全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行ったもの。同様の調査は2023年12 月(2023年10月時点)に続き8回目。
調査結果(要旨)
- 近畿企業の「後継者不在率」は46.9%
・6年連続で低下し、2011年の調査開始以来、最も低い水準に
・府県別では、「奈良県」(49.4%)が最高で、「和歌山県」(43.5%)が最低。前年比では「滋賀県」「大阪府」「奈良県」が低下
・業種別では、全ての業種で低下 - 新代表の就任経緯、同族承継から非同族承継へ
・「内部昇格」(38.4%)が前年から5.7ポイント上昇。「同族承継」(35.5%)を上回る
・「M&Aほか」と「外部招聘」を足した『第三者承継』が前年比0.6ポイント上昇の22.1%に
・後継者が「いる」企業における後継候補者の割合は、「非同族」が36.0%で最高となり、前年比2.1ポイント上昇。「子ども」が30.4%で続いたが、同1.9ポイント低下
詳細は、以下のPDFをご覧ください
20241206_近畿企業の「後継者不在率」調査(2024年)

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