はじめに
4月に消費税が8%へと引き上げられてから、半年が経とうとしている。全国の百貨店の売上高は7月まで4カ月連続で前年同月比マイナスとなったものの減少幅は縮小しており、基本的には回復傾向が続いている。しかし、総務省の家計調査によると1世帯(2人以上)あたりの消費支出は、物価変動の影響を除いた実質ベースで増税以降、4~6月と3カ月連続前年同月比マイナスで推移するなど財布のひもは固い状況が続いている。高額商品の典型である宝石・貴金属に関しては、駆け込み需要で大幅伸長した分、反動減が大きく、やや回復が遅れており、7月には「じゅわいよ・くちゅーるマキ」「ジュエリーマキ」などの宝石・貴金属小売店を運営していた(株)三貴(東京都、負債約120億円)が民事再生法の適用を申請するなど予断を許さない状況が続いている。
こうした状況を踏まえ、帝国データバンクは、2014年上半期の宝石・貴金属関連業者の倒産動向(※)および過去2回の消費増税前後の倒産動向について、調査・分析した。
※ 負債1000万円以上、法的整理のみを対象
調査結果
1.2014 年上半期(1~6 月)の倒産件数は、前年同期比35.0%減の26 件。リーマン・ショック以降、最少の水準となった。
2.負債規模別に見ると「1000 万~5000 万円未満」の構成比が69.2%と7 割弱を占めた。小規模倒産の構成比が上昇傾向にあることが判明。
3.業態別では、製造業、卸売業、小売業の全ての業態で前年同期比を下回った。歴年ベースで見ると小売業が増加、一方で製造業は低水準で推移していることが判明。
4.過去の消費増税前後の倒産動向比較では、増税前は共通して倒産が減少傾向にあり、増税後も急に倒産は増加することはなく、むしろ株価などが影響しているものと見られる。

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